住宅の広告にある間取り図を見たとき、あなたはどう思いますか?
家が「広い」とか「狭い」と思うかもしれません。
でも、「何となく」でしか分かりません。
それは間取り図に「寸法」が無いからです。
家を建てるのに必要な建築図面には「寸法」が記載されています。
建物を設計して施工するという過程においては、「具体化する」作業が必要になります。
「寸法」は建物を具体化する作業には欠かせないものです。
「設計(具体化)」によって初めて「積算」、「施工」につながり、建物を建てることができます。
今回はこの寸法を中心に、建築図面の基本について述べてみたいと思います。
図面の寸法とは?
図面の寸法とは、「長さ」のことです。
図面があったとしても寸法が無い状態だと「長さ」が分からず、建物の大きさが全く分かりませんので、施工することもできません。
そこで建物の大きさを把握するために「寸法」が必要です。
図面に寸法が入っていると「この建物のサイズは10m×15mだな」とか「この建物の最高高さは8mだな」というふうに、建物の長さや高さが分かります。
寸法は「建物のボリュームを伝えるために必要不可欠な物」なのです。
建築図面の寸法単位
建築図面の寸法の単位は現在において「㎜(ミリメートル)」です。
建築は非常に繊細ですので、㎜(ミリメートル)単位で様々なことを調整する必要があります。
図面を見たときに「2,000」という寸法表記があれば2,000㎜=2mです。
図面を書く際にも寸法には単位を書きません。
「㎜が基準」なので、単位は省略します。
㎜と違う単位があれば記入する必要がありますが、㎜と違う単位を使う必要性はまずないでしょう。
昔は「尺(1尺≒303㎜)」が使われていました。
現在でも高齢の大工さんと仕事の話をすると「尺」を使う人がいますが、最近の建築現 場ではほとんど使用されません。
寸法線の基準は?
「通り芯」を基準にします。
作図する際にも、現場で施工する際にも通り芯は基本になります。
この「通り芯」が存在しないと図面を書く際の計算が非常に複雑になってしまいます。
「通り芯」が存在することによって「通り芯から100が仕上線だな」というふうに作図しやすくなります。
現場で施工する際にも「通り芯」の墨出しをしてから各寸法の追い出しをします。
「通り芯」は設計図を作成する場合においても、建築現場で施工する際においても「基準」となる重要で大切なものです。
寸法の書き方
図面を書く際には「通り芯(基準線)」を書いた後に寸法に関する記入をします。
寸法線を書いた後に寸法線の上に寸法を記入します。
特に決まりはありませんが、寸法文字の高さは3㎜程度が良いでしょう。
あと、どこからどこまでの寸法か明確にするために「黒丸」を書きます。
大きさは直径で0.5㎜~1㎜程度で黒く塗りつぶします。
建築物は多スパンの建物が多いので「各スパン間は2mだが、スパン全体で10mある」ことを表現する場合は一段ずらして以下の図のように表現すればよいでしょう。
図面の線種の使い分け
線の種類は以下の通りです。
実線
連続した一般的な線です。
一般的に建築図面では最も多く使用されています。
「目に見えるもの」を表現するときには一般的に実線になります。
破線、点線
破線、点線において、1つの項目にまとめたのは「明確な違いがない・明確な定義がない」からです。
「点線」は点が連続してできた線ですが、「破線」は点線より粗くなった線です。
主に「目に見えないもの」や「工事範囲外のもの」等を表現するときに使用します。
一点鎖線
一つの点が、切れた実線の間に配置される線です。
通り芯等の「基準」を表す線です。
基本的には「基準」を表すもの以外には使用しません。
二点鎖線
二つの点が、切れた実線の間に配置される線です。
一般的には「境界線」を表すのに使用します。
例えば、配置図における「敷地境界線」や「道路境界線」に使用します。
ちなみに、JISでは線種については実線・破線・一点鎖線・二点鎖線の4種類が定義さ
れており、点線については定義されていません。
まとめ
以上、「寸法」・「線種」といった建築図面の基本的な事項について述べました。
基本事項を知ることによって図面を見たときに「このスパンは芯々で2,000だな」とか、「この線は通り芯を表しているのだな」といったことが理解できるでしょう。
「寸法」は建築図面を具体化するのに大きな役目を果たします。
「寸法」によって具体的な大きさが分かり、建物をイメージできるでしょう。
建築図面は興味のない人にとっては「難しいもの」、「複雑なもの」、であるかも知れません。
しかし、建築図面を理解する能力は、実務を円滑に進めていく上で必要な能力です。
今回ご紹介した知識を皮切りに、ぜひ建築図面への見識を深めてみてください。
建築図面を理解する事が、建築業界で活躍するにあたって大いに役に立つでしょう。