コンクリートの品質を管理する上で重要な「養生」。
この記事では、養生の目的や方法、基準についてわかりやすく解説します。
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コンクリート養生とは?
コンクリートの養生とは生コンが硬化するまでの時間に強度などの品質を確保するため外的要因によって有害な影響を受けないようにするために保護する作業。
要するに、コンクリートの養生には所定の強度が発現するまでに水分を与え、その水分を保持し、適切な温度を保つことが求められます。
養生の種類について
コンクリートの養生といっても目的別に養生方法は多岐にわたります。
施工方法や構造物の種類、環境など状況に応じて適切な養生を選択することが重要です。
当記事では主に一般的な湿潤養生と保水養生について解説します。
湿潤養生
湿潤養生とはコンクリートの打設が完了したあとに水分を供給することで所定の強度の発現を促す養生であり、最も一般的な養生方法。
湿潤養生にも種類があり、湛水養生、散水養生、湿布養生などがあります。
湛水養生
湛水養生はコンクリートを打設する前に組み立てる型枠の高さをコンクリートの高さより高くすることでコンクリートの表面に2、3センチの水を張る養生。
大量の水分を保持できるため、養生効果は非常に高い。
注意点としては冬季凍結の恐れがある場合は水量を増加させ、水深を深くするなどが必要です。
散水養生
散水養生は打設したコンクリートの表面に直接散水を行う方法。
環境の状況や気象条件によって水分の均一な保持が難しいので効果にムラがでることが…。
しかし、スプリンクラーなど自動的に水を常時供給できるように工夫すると十分な効果は見込めます。
湿布養生
湿布養生とはコンクリートの表面に水分を散水したのち、保水性のあるシートやマットで覆い、水分の蒸発を防ぐ。
覆ったものの保水状況を随時確認しながら必要であれば散水を適宜行います。
散水が不足すると逆に覆ったものがコンクリートの水分を吸収してしまうことも…。
保水養生
保水養生とはコンクリート自体が保持している水分の蒸発を防ぐためにコンクリートの表面を膜やシートで覆うもの。
膜養生、シート養生などがある。
一般的に湿潤養生の難しい橋梁上部工などに用いています。
その他の養生
その他の養生として給熱養生、冷却養生、促進養生など多岐にわたります。
養生日数、温度について
湿潤養生の日数はコンクリート標準示方書およびJASS5においてセメントの種類、日平均気温または構造物の設計耐用年数(計画共用期間)に応じて決められています。
土木学会 コンクリート標準示方書によると
普通セメント | 混合セメントB種 | 早強ポルトランドセメント | |
日平均気温15℃以上 | 5日 | 7日 | 3日 |
日平均気温10℃以上 | 7日 | 9日 | 4日 |
日平均気温5℃以上 | 9日 | 12日 | 5日 |
日本建築学会 JASS5によると
早強ポルトランドセメント | 普通ポルトランドセメント | 中庸熱および低熱ポルトランドセメント、高炉セメントB種、フライアッシュセメントB種 | |
計画共用期間(短期及び標準) | 3日以上 | 5日以上 | 7日以上 |
計画共用期間(長期および超長期) | 5日以上 | 7日以上 | 10日以上 |
となっています。
まとめ
一般的にコンクリートは無機質で冷たいイメージがありますが、コンクリートは生き物です。
適切な養生を実施しないと耐久性が低下し、ひび割れの発生や寒冷地になると凍害の恐れもあります。
コンクリートの歴史は紀元前6500年にもさかのぼり、歴史が非常に深いもの。
現代においてもいまだ判明していないこともあり、研究や開発も日々進化しています。
今後のコンクリートの養生についての研究なども是非チェックしてみてくださいね。