コンクリートスランプ値とは、生コンクリートの流動性やワーカビリティ(作業性)を表す値。
この記事では、コンクリートのスランプ値の規定、測定方法、コンクリートへの影響を解説します。
コンクリートのスランプ値とは
コンクリートのスランプ値とは生コンの流動性を測定するスランプ試験で得られる値。
流動性が高いコンクリートになるほどスランプ値が高くなります。
スランプ値の単位は㎝。
スランプは生コン打設時の作業性や効率性(ワーカビリティー)を調べるための指標にもなります。
試験方法
スランプ試験はスランプコーンと呼ばれる所定の入れ物に生コンを入れ、突き棒(金属製の棒)で25回突いて攪拌する。
そして、スランプコーンを垂直方向に抜いて、コンクリートの最頂部の高さが何㎝下がったかを測定します。下がった数値が大きい程、流動性の高いコンクリートです。
一方、流動性の高すぎるコンクリート(高流動コンクリートなど)は水溜まり状に広がるので、スランプ値の代わりに供試体の直径の広がりの値をスランプフローとして測定します。
JISやJASS5によると許容値については規定がありませんが、スランプ値の1.5倍~1.8倍になると良いコンクリート。
配合そのものがスランプフローの配合となるとスランプフローとしての規格値があります。
スランプ値の規定
スランプ値の規定は一般的な建築構造物では15~18㎝とする場合が多い。
一般的にコンクリート中の単位水量を大きくすることでスランプが大きくなるが、単位水量が大きくなりすぎると強度、耐久性の低下を招く。
コンクリートの単位水量は水セメント比と呼ばれる比率が関係法規で決まっています。
そのため、コンクリートの単位水量を大きくすることなく、コンクリートの流動性を確保するために混和剤(AE剤、減水剤)を加えます。
スランプ試験の測定項目は下記に示す。
①試験の年月日
②天候
③気温、または室温
④バッチ番号または運搬車番号
⑤粗骨材の最大寸法(㎜)
⑥コンクリートの温度
⑦スランプ値
⑧突き回数(材料分離の恐れがある配合は25回より減らすこともある)
スランプ値のコンクリートへの影響
スランプ値の規定はあるが、スランプ値がコンクリートの強度に直接的な影響を及ぼすことはありません。
コンクリートの強度はあくまでも水セメント比に依存し、スランプの大小関係なく水セメントは同じであり、スランプの大小はコンクリートの配合によって決まります。
しかし、スランプ値が低すぎるとジャンカなどの原因にも…。
建築構造物は鉄筋も多く、構造も複雑なため、スランプ値が大きく、流動性の高いコンクリートが適してます。
一方、鉄筋間隔も大きく、重量や強度を必要とする土木構造物(ダムなど)は水分量の少なくスランプ値も小さい高強度コンクリートが適しています。
まとめ
スランプ値はコンクリートの流動性を測定する値です。
作業性及びワーカビリティーに大きく影響するので正確に測定することが大切です。