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零相変流器(ZCT)とは?原理や構造、種類や選定方法について分かりやすく解説!

この記事では、零相変流器(ZCT)の原理や構造、種類や選定方法などについて詳しく説明します。

零相変流器は、地絡電流を検出するために使われる変流器の一種です。

変流器とは、交流電流を変換する装置で、計測や保護などの目的で用いられます。

零相変流器は、三相電流の合計値を計測することで、地絡が発生しているかどうかを判断します。

零相変流器(ZCT)とは

零相変流器とは、地絡電流を検出するために使われる変流器です。

地絡電流とは、本来絶縁されているはずの電気が大地と接続することで発生する電流です。

地絡電流は、三相電流の中に含まれる第四の成分であり、零相成分とも呼ばれます。

三相電流は、三つの異なる位相を持つ交流電流で構成されており、通常は互いに打ち消し合って合計値がゼロになります。

しかし、地絡が起きると、一つまたは複数の位相から大地へ向かって電気が漏れるため、合計値がゼロにならなくなります。

この時に発生する余分な電流が地絡電流です。

零相変流器(ZCT)の重要性

零相変流器は、地絡を検出するために重要な役割を果たします。

地絡は、電気の漏れによって火災や感電などの危険を引き起こす可能性があります。

また、電気の品質や安定性も低下させます。

そのため、地絡を早期に発見して、電気を遮断することが必要です。

地絡電流を検出して、地絡継電器や遮断器などの保護装置に信号を送ります。

これにより、地絡が発生した回路を素早く切り離すことができます。

高圧受変電設備や低圧回路などに広く設置されており、電気の安全性や信頼性を高めるために欠かせない装置です。

零相変流器(ZCT)の基本原理

零相変流器(ZCT)の基本原理や動作原理について解説します。

零相変流器(ZCT)の概要

零相変流器は、輪っかのような形をしており、測定したい電線をその中に通します。

三相交流回路において、三相の電流のベクトル和を計測します。

通常、三相交流回路では、三相の電流は互いに打ち消し合ってベクトル和はゼロになります。

しかし、地絡が発生すると、ベクトル和がゼロでなくなります。これは、地絡によって漏れた電流がベクトル和に加算されるためです。

零相変流器は、このベクトル和がゼロでなくなったことを検知します。

零相変流器(ZCT)の動作原理

零相変流器の動作原理は、計器用変流器(CT)と同じです。

磁気的に結合した二次巻線と一次巻線から構成されます。一次巻線は測定したい電線そのものであり、二次巻線はZCT内部に設置されたコイルです。

一次巻線に流れる電流によって発生する磁束が二次巻線に誘導起電力を生み出します。

この誘導起電力によって二次巻線にも電流が流れます。二次巻線の端子間に計測器や保護装置を接続することで、一次巻線の電流を間接的に測定したり制御したりすることができます。

三相交流回路の場合、三相の一次巻線を同じ零相変流器内部に通します。

この場合、三相の一次巻線から発生する磁束は互いに打ち消し合ってゼロになります。

したがって、二次巻線に誘導起電力も生まれず、二次巻線にも電流は流れません。

しかし、地絡が発生すると、三相の一次巻線から発生する磁束のベクトル和がゼロでなくなります。

このベクトル和に比例した誘導起電力が二次巻線に生まれ、二次巻線にも電流が流れます。

この電流を測定することで、地絡の有無や大きさを判断することができます。

応用分野

零相変流器は、主に受変電設備や配電盤などの高圧・低圧回路において、地絡保護のために用いられます。地絡継電器(GR)や漏電警報器(LGR)などの保護装置と組み合わせて使用されます。

零相変流器からの信号を受け取った保護装置は、地絡の有無や大きさを判断し、遮断器や警報器などに動作指令を出します。これによって、地絡による危険を防止することができます。

零相変流器は、地絡保護以外にも、零相電流を利用した様々な応用分野があります。

例えば、零相電流を利用して負荷の不平衡度や調和歪率などのパワークオリティの指標を測定したり、零相電流を利用して過渡現象や故障箇所の特定を行ったりすることができます。

まとめ

本記事では、零相変流器(ZCT)について紹介しました。

零相変流器は、地絡電流を検出するために使われる変流器であり、三相電流の中に含まれる第四の成分である零相成分を測定します。

しかし、零相変流器には技術的な課題や実装上の課題も存在しています。

その一つは、零相変流器の出力信号が非常に小さく、ノイズに埋もれやすいことです。

この問題を解決するためには、適切なフィルタリングや増幅が必要です。もう一つは、零相変流器の設置場所や方向が地絡電流の検出精度に影響することです。

この問題を解決するためには、零相変流器の特性や環境条件を考慮して最適な配置を決める必要があります。

以上のように、零相変流器は地絡電流の検出に有効な装置ですが、その利用には注意が必要です。

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