用語の解説 設計図

建築の立ち上がりとは?意味や目的、使われる場所について徹底解説

2022年6月22日

この記事では、建築現場でよく使われる「立ち上がり」という言葉について解説します。

立ち上がりとは?

立ち上がりとは、防水などを目的とした、水平面から鉛直面に立ち上がった部材のことを指します。

しかしながら、「立ち上がり」という言葉自体に明確な定義があるわけではありません。

防水などの用途にとらわれず、水平面から鉛直面に立ち上がったもの全般を指す場合が多いです。

また、立ち上がりとは、コンクリートなどの構造的に重要な部分に対して使うことが多いです。

非構造体に対しては、あまり使用されることはありません。

例外として、立ち上がっている部分に塗られている塗料などに対して「立ち上がり」と表現することがあります。

立ち上がりの現場での使われ方

立ち上がりの現場での使われ方としては、防水工事や躯体工事などの職種にとらわれず、様々な業種において使用されます。

例えば、設備工事において、設備を設置するための基礎として「設備基礎」というものがあります。

この設備基礎のことを「立ち上がり」と表現したとしても、現場の業者の方々は設備基礎のことを指していると理解することができます。

この他にも、床に段差がある場合、この段差の立ち上がっている部分のことを「立ち上がり」と表現したりすることもあります。

屋根部分の立ち上がりとは?

屋根の立ち上がりに関しては、「パラペット」と表現されることが多いです。

パラペットに関しては、主に陸屋根の防水を目的に設けられます。

陸屋根は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物によくあるフラットな屋根です。

このフラットな屋根に立ち上がりがない場合、雨天時に屋根から滝のような水が落ちてくる可能性があります。

これを防ぐためにパラペットを設けることが多いです。

パラペットを設けたのちに、屋根及びパラペット全面に防水加工を施し、排水ドレインなどを設け、屋根の水を排出する仕組みとしたりします。

防水に関する立ち上がりとは?

防水の立ち上がりに関しては、パラペットなどの立ち上がった部分に設けてある防水材のことです。

パラペットなどの立ち上がりの部材に関しては、鉛直面に立ち上がっているとはいえ、それ自体が防水としての機能を果たしているとは言えません。

よって、立ち上がりの部分に、シート防水や塗膜防水などを施す必要があります。

この時、立ち上がり部分に施された防水加工の部分を「立ち上がり防水」と表現します。

立ち上がりは構造体に対して使用することが多いです。

立ち上がり防水は、非構造体に対して使われる例外の一つといえます。

立ち上がりコンクリートとは?

立ち上がりコンクリートは、文字通り、鉛直面に立ち上がったコンクリートに対して使用されます。

中でも、壁などに使用されることが多いです。

床のコンクリートを打設したのちに、壁のコンクリートを打つ際、「立ち上がりコンクリート打設」と表現したりします。

この他にも、設備基礎などに対しても使用することがあります。

立ち上がりコンクリートを打設する際には、打継部を作ると構造的に好ましくありません。

このことから、できるだけ床のコンクリートなどと一緒に打設するのが好ましいとされます。

立ち上がり天井とは?

立ち上がり天井は、天井の立ち上がった部分のことを指します。

立ち上がり とは

例として、宴会場などの広い空間と廊下の間の天井は高さが違うことが多いです。

一般的に、宴会場の天井が高く、廊下の天井は低いです。

この時、廊下と宴会場の間の天井に段差が発生し、鉛直面に立ち上がった部分が現れます。

この立ち上がりの部分を「立ち上がり天井」と表現します。

立ち上がり天井は、クロスやペンキなど、壁と同じ仕上げの場合が多いです。

しかし、下地は壁ではなく、天井下地と同じ部材で構成されることが多いです。

構造体と非構造体の立ち上がりの違い

立ち上がりは、主にコンクリートなど、構造的に重要な部材に対して使います。

しかし、防水加工の立ち上がっている部分や床の段差の部分など、構造的に重要ではない部分に関しても使用されることがあります。

ですが、構造体と非構造体の間には優先順位が存在します。

例として、防水加工がされているパラペットを解体するとします。

この時、解体業者に「立ち上がりを解体して」と指示すると、迷わずパラペットを解体します。

防水加工だけを取り除いたりしません。

「立ち上がり」という意味は構造体としての意味合いが強いからです。

立ち上がりの意味が曖昧な部分

「立ち上がり」という言葉は、業者の人でないと理解に苦しむ部分が多々存在します。

例として建物の金属製外壁の下にコンクリートの壁があったとします。

この時、業者の方に「立ち上がりにシーリング材を打ってほしい」と指示したとします。

すると、業者の方は、迷わずコンクリートにシーリング材を打ちます。

素人からすればコンクリートに打つのか外壁に打つのか、はたまた何か別の所に立ち上がりが存在するのか迷うでしょう。

「立ち上がり」は意味が曖昧な所が多々あり、業者の人でない限り、完全に理解することは難しい言葉です。

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