建築の設計図面で「天端高さ」「天端仕上げ」という文字を目にすることがあります。
建築では重要な場所を意味しているのですが、建築に詳しくない方には見慣れない言葉ですよね。
天端とは部位・部材の頂点になっている部分のことです。
この記事では、天端の読み方や意味、天端の種類について詳しく解説します。
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「天端」の読み方:「てんば」と読む
天端は「てんば」と読み、同じ意味で「上端(うわば)」という言葉もあり、いずれも部位の一番上の部分を意味しています。
また天端とは反対に物の最も下の部分のを表す対義語に「下端」というものがあり、設計図面上では底と頂点の高さを表すときに「下端〇〇、天端〇〇」とセットで書かれることがありす。
建築でよく使われる天端とは建築物の部位・部材の一番高い部分
天端は部位・部材の頂点になっている部分のことを指します。
設計図面では天端の仕上げに関して書かれることもありますが、高さを表す場合にも使われます。
では天端は高さを表す場合どのような使い方をするのか、バルコニーの手摺を例にして説明していきましょう。
バルコニーの床から壁が90cm立ち上がっており、その上に20cmの高さの金属製の筒形の手摺がついているとします。
その際、立ち上がった壁も含めてバルコニーの手摺となるので、手摺の天端は90cm+20cmで110cm。
ただし図面上では単位がmm(ミリメートル)なので、天端H1,100と表記するのが正解です。(Hとはhighの略で高さを意味します)
天端は建物や部位・部材の高さを知るのに有効
天端の高さ表記は建物の部分的な高さや、使われている部材の最上面の位置を知るのに必要不可欠です。
ただ「ここの高さは○○か」と単純に情報を得るためだけではなく、建築基準法に満たしているかどうかの判断材料にもなります。
例えば、建築基準法施行令第126条に『屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。』とあります。
つまり建築確認申請などでチェックされる項目のひとつに屋上やバルコニーの手摺の高さがあり、しっかりと図面上に手摺の天端が1.1m以上だと分かるように表記しなければなりません。
実際に建築業界で使われる様々な天端
建築業界には建物を建てる際に必要不可欠な天端の種類がいくつも存在します。
そこでよく使われる天端をご紹介していきます。
【基礎天端】
基礎とは鉄筋コンクリートで作られた建物の土台となる部分で、基礎天端とは基礎の上部の面を意味します。
基礎の上に建物を建てていくわけですから、天端がどの位置でも水平ではなくてはなりません。
【スラブ天端】
スラブとは鉄筋コンクリート造で、コンクリートが敷き詰められ平らになった構造床を指します。床スラブ、天井スラブがあり、いずれもスラブ天端はその上面を指します。
図面上ではSL(スラブライン)と略して書いてあります。
【梁天(はりてん)】
梁は柱と柱に架かる構造材のことで、梁天は梁の上面を意味します。
梁の上に床の下地や仕上げを貼るので、2階以上のFL(フロアライン・床面)と密接に関わってきます。
【パラペット天端】
パラペットとは陸屋根や屋上・バルコニーの外部との境から床面を囲むように低く立ち上がっている外壁のことです。
主に雨水が直接壁に流れ出ないようにせき止める役割をしているのですが、このパラペットの一番高い部分のことをパラペット天端といいます。
天端管理の重要性
建築や土木工事において、天端を管理することはとても重要です。
建物や構造物にとって高さというものはとても重要で、天端(高さ)レベルを間違うと、あらゆるものに影響します。
最悪は、間違えた部分を壊してやり直すということにもなり兼ねないので、天端はしっかりと管理する必要があります。
まとめ
天端は一言でいえば最上面のことですが、各部位ごとに天端の高さの表記をしておけば建物を施工する業者に正確な指示を出すことができます。
裏を返せば一つでも狂ってしまうと現場が混乱したり、計画とは違うものができてしまいます。
その点から天端の表記は図面上で最も重要な情報の一つと言えるでしょう。