あと施工アンカーとは、コンクリートなどの母材に穴を開けて固定されるアンカー。
この記事では、施工アンカーの種類や特徴、施工方法、施工時の留意点について分かりやすく解説します。
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あと施工アンカーとは?
あと施工アンカーとは、コンクリートなどの母材に穿孔し、孔の固着機能によって固定されるアンカー(母材と部材を繋ぎ合わせる役割)をいう。
使用用途や必要強度に応じて種類・規格が分類されており、土木・建築分野で部材の固定や耐震工事などで広く利用されている。
あと施工アンカーの種類
金属系アンカー | 金属拡張アンカー |
その他金属アンカー | |
接着系アンカー | カプセル方式 |
注入方式 | |
その他アンカー | 打込み式 |
ねじ込み式 | |
はさみ固定式 | |
ねじ固定式 |
種類ごとの特徴
金属系アンカー
金属拡張アンカーとその他の金属アンカーに分類される。
金属拡張アンカーは、コンクリートなどの母材に予め穿孔した孔の中でその拡張部が開き、孔壁に機械的に固着するもの。
接着系アンカー
コンクリートなどの母材に予め穿孔した孔に充填した接着剤(カプセル方式又は注入方式)が化学反応により硬化し、定着部を物理的に固着するもの。
その他アンカー
金属系アンカー、接着系アンカー以外のアンカーで、材質(金属、プラスチック等)及び固着方法(打込式、ねじ込式等)など様々な種類がある。
あと施工アンカーの施工方法
金属系アンカー
- アンカーの取り付け位置を図面等により確認し、母材にマーキング
- アンカーサイズに適応するドリルビットを選定し、所定のアンカー深さの位置にマーキング
- ハンマードリル等により、所定の位置・深さになるよう穿孔
- 穿孔完了後、集塵機、ブロアーなどを使用して孔周りの切粉をとってから孔内の切粉を除去
- 金属系アンカーにナット及びワッシャーを取り付けて孔内に挿入
- 金属系アンカーの芯棒の頭部をハンマー打ち込む
- スパナ類を用いてナットを締め付ける
接着系アンカー
- アンカーの取り付け位置を図面等により確認し、母材にマーキングする
- アンカーサイズに適応するドリルビットを選定し、所定のアンカー深さの位置にマーキングする
- ハンマードリル等により、所定の位置・深さになるよう穿孔する
- 穿孔完了後、集塵機、ブロアーなどを使用して孔周りの切粉をとってから孔内の切粉を除去
- 孔内にアンカー筋を入れ、施工面の位置にマーキング
- 孔内にカブセルを挿入
- アンカー筋に打撃回転を与えながら、一定の速度でマーキングの深さまで打ち込む
- 所定の接着剤効果時間までアンカー筋を動かさない
施工時の留意点
- アンカーの種類・規格は、コンクリートなどの母材や設置部材の所要強度などに応じて、適合するものを選定する
- アンカーの選定や設計に関しては、JIS規格のような統一規格がなく、各メーカーのカタログに記載されている事項がパラメータとなる
- 使用するアンカーサイズに適応したドリルビット(穿孔径)とし、穿孔深さの確認をする
- 穿孔角度は特に指定がある場合を除き、施工面に直角方向とする
- 孔内に切粉が残っているとアンカーの強度に影響を及ぼす虞があるので、孔内清掃は入念に行う
- アンカー挿入時は、埋込長さ及びねじしろを確認する
- アンカーの座金は施工面または取付け部材面まで挿入する
- 金属系アンカーの芯棒打ち込みハンマーは、アンカーのサイズにあった適切なものを使用する
- 所定の締付トルクでナットを締め付けて固着させるアンカーは、ナット締め付けていない状態では強度を発揮しない
- 接着系アンカーにおいて、カプセルの有効期限及び流動性があることを確認のうえ、挿入方向が逆にならないよう孔内に挿入する
- カプセルの攪拌が過剰にならないこと