コンクリート品質試験の一つにスランプ試験というものがあります。
スランプ試験は現場のコンクリート受入検査の中で実施する検査の一つです。
現場に搬入された生コンクリートに対して、施工者が実施することになっていまが、時にはスランプ試験を失敗してしまう事もあります。
スランプ試験の失敗の定義とは、
- スランプ値が大きすぎたり、小さすぎたりして基準の値を満たさなかった
- コンクリートの形状が不均一になったり、中心に対して偏ったりしてしまった
この2点があります。
今回は『スランプ試験の失敗の定義』とその対応について説明したいと思います。
スランプ試験の失敗とは?
上記で説明したようにスランプ試験にも「失敗」というものがあります。
スランプ試験の失敗の定義についてはJISにも一部解説されています。
その定義としては、
「コンクリートの形状が不均一になったり、中心に対して偏ったりする場合」
「スランプ値が基準値を満たさない場合」
は失敗となります。
なお,コンクリートがスランプコーンの中心軸に対して偏ったり,くずれたりして,形が不均衡になった場合は,別の試料によって再試験する。(JIS A 1101)
スランプ試験失敗の判断はどのように行うのかというと、
- スランプ値の最も大きい部分と小さい部分の差が3cm以上
- スランプコーンの中心部と引き抜いた後のコンクリートの中央部との距離が5cm以上
- スランプ値8-18の場合±2.5㎝の基準値を超えた場合
上記の場合は『失敗』ということになります。
詳細は以下の図を参照してください。
参照:
http://hirac.lekumo.biz/main/files/ZENNAMA/ZKT-201_R2_.pdf
スランプ試験失敗後の対応
もし、スランプ試験を失敗してしまった場合どのようにすれば良いのでしょうか。
JISにも規定されていますが、もし上記で説明したようにスランプ試験の形状等が悪く、失敗してしまった場合は、一度のみスランプ試験をやり直す事ができます。
スランプ又はスランプフロー,及び空気量 スランプ又はスランプフロー,及び空気量は,必要に応じ 9.3 又は 9.4,及び 9.5 の試験を適宜行い,4.1 b)又は 4.1 c),及び 4.1 d) の規定にそれぞれ適合すれば,合格とする。この試験でスランプ又はスランプフロー,及び空気量の一方又は両方が許容の範囲を外れた場合には,9.1 によって新しく試料を採取して,1回に限り 9.3 又は 9.4,及び 9.5 によって試験を行ったとき,その結果が 4.1 b) 又は 4.1 c),及び 4.1 d) の規定にそれぞれ適合すれば,合格とすることができる。
(JIS A 5308)
それでも、失敗をしてしまった場合は、残念ながらそのコンクリートを使うことはできず、プラントに返却するということになります。
まとめ
今回はスランプ試験の失敗とその対応について説明しました。
現場管理者は、現場でスランプ試験について、何か不具合があれば気づいて是正できるようにするため
- どのような状態が失敗なのかという、スランプ試験の失敗の定義
- スランプ試験で失敗してしまった場合の対応
について明確に把握しておく必要があります。