現場監督、電気工事士、鳶さん、左官屋さん、大工さんなどの建設業で働いている人の中には、
- 「うちの会社はなぜこんなに忙しいのか」
- 「今の会社は給料が低いけど、他の会社なら給料があがるのではないか」
と思うかたはいるでしょう。
しかし現実には、ほんの一部を除いて建設業界はどこも同じような待遇と労働環境だと言えます。
なぜなら建設業界全体で人手不足に陥っており、それがほとんどの建設関係の会社に影響を与えているからです。
もちろん会社によって待遇の善し悪しはありますが、よほど大きい会社や親切な会社でない限り差異はありません。
この記事ではなぜ建設業界全体の人手不足が起こってしまうか、その理由について建設業界で15年以上働く私が解説していきます。
建設業が人手不足に陥っている7つの理由
普通ならつく手当がつかない
普通のオフィスワークをしているような会社であればつくような各種手当てが建設業の会社ではつかない場合があります。
その中の1つが移動時間です。
基本的に朝出勤する際には一度会社に行って、会社から現場へと向かいます。
しかし移動時間が1~2時間だとしてもその時間に手当が付けられることはなく、現場の中の作業時間でしか、給料が支給されません。
つまり朝出勤して会社で過ごした時間は「通勤時間」と見なされ、給料がつくことはありません。
例えば現場が9時から17時まで働くとしたら現場に行くまでに家から3時間かかれば6時に家を出て、20時に家に着くことになります。
さらに残業があればもっと遅くなり、この時間に手当が付かないのは建設業の残念な点です。
退職金がほぼない
一般的な会社であれば退職金が設定されて定年退職すれば、かなりのまとまった金額が支給される会社が多いですが、建設業界ではそうはいきません。
よほど大手の会社出ない限りは退職金がかなり少なく設定されています。
大きい会社であれば退職金がしっかりと準備されていることもありますが、建設業界は小さい会社が多いです。
従業員の少ない会社では大きい仕事を受けることができないので退職金を用意する資金力自体が会社にないので退職金をかなり少なくするしかないのが現状です。
労働時間が長く、休みが少ない
建設業界は休みが少ないイメージを持っているかたが多いと思いますが、イメージ通りで合っています。
建設業界では今「週休2日」を目指していています。
週休2日は月で休みが6日を指し、完全週休2日を目指すわけでもなく週休2日を目指しています。
他の業界であれば週休3日を導入している企業がある中で建設業界は非常に遅れています。
しかし休みが増えることによる問題が発生します。
まず日当で働いている社員は多く、大半は出勤回数が減るので給料が低下します。
また休みが増えることで社員一人あたりの負担が増え、作業量が増加するなど問題はかなり残っています。
仕事内容がつらい
建設業界は「きつい」「汚い」「危険」の3Kと呼ばれています。
作業をするときには夏は暑く、冬は寒く、また力仕事が多いので体力的にも年を重ねるとつらくなります。
そのためただでさえ入りにくい新人がたまたま入ってきたとしても、仕事がハードであるがゆえにすぐに辞めてしまいます。
そして人で不足が会社されません。
仕事道具の購入は自分持ち
建設業界では仕事に関する道具の購入費用は基本自己負担になります。
会社から支給されることもありますが、入社した直後だけであとは自分で買う会社がほとんどです。
買わなければいけないものは作業着をはじめ、電動の工具、手袋など上げだしたらキリがありません。
そしてほとんどが消耗品であるので継続的に買わなければならず、長い目で見ると非常に大きな出費になります。
古い慣習が抜けない
建設業界ではいまだに古い慣習が抜けきっていません。
例えば厳しい上下関係や怒号が飛び交うなどのパワハラ、重なる下請け構造などが日常茶飯事で起きています。
昭和であれば許されていたことかもしれませんが、すでに平成を越え、令和に入っています。
パワハラの酷い会社に入ってしまえば給料も悪く、待遇も悪い中でパワハラを受けることになるので、気をつけたほうがいいでしょう。
経営者の意識が低い
建設業界の1つの特徴として、経営者としての質の低さが見受けられます。
建設業界で独立をする人は非常に多く、現在建設業で働いている多くの人は独立を目指して日々の業務を行っています。
仕事の量だけはいくらでもあるため、他の業界に比べて仕事を取るということが比較的容易です。
そのため楽に独立ができます。
独立して一人だけで仕事をする分には良いですが。そのうち大きな仕事をこなしたいからと人を雇います。
しかし取ってくる仕事の金額が少ないので儲かることもないので、労働条件も悪くなります。
そして人が離れていくという流れになっています。
この原因としては経営者の判断不足であり、人出不足はそれが招いた結果だとも言えます。
人手不足を解消するためには金額の高い案件を取る必要があり、金額の高い案件がとれれば、待遇の改善ができます。
しかし独立しただけの職人では営業能力、判断能力が高いとは言い切れません。
そして判断能力などが低いながらもなんとかやっている状態なのでブラックな労働環境になっています。
建設業界が人手不足から脱出するには
建設業界の未来はほかの業界に比べて、明るいことはありません。
ITを駆使して業務効率をするという流れは進んでいますが、上場している企業でようやく取り入れているだけです。
末端の工事をしているような会社では新しい技術を導入することは難しく、取り入れるのは何十年も後になるでしょう。
例えば国が大改革をしない限りは建設業全体が大きく変わることはなく、構造の変化はないです。
自分の体を壊さないためにも建設業で働いている人は他に明るい業界に目を向けてこの業界を脱出することをおすすめします。
【当たり前】なぜ建設業が人手不足に陥っているのかのまとめ
建設業界のトップであるゼネコンですらブラックだと言われており、人の入れ替わりの激しい業界です。
まだゼネコンでは働いた分だけ給料が高く、ボーナスもしっかりしていますが、末端の工事屋では簡単に独立ができるため会社としての自覚のない経営者が多く存在します。
建設業がブラックだと知った上で、もし建設業で働くのであれば慎重に会社を選ぶことをおすすめします。