街中にあるコンクリートの塀や、コンクリート打放しの家で見ることができるコンクリートの丸いくぼみ。
「これって一体何?」
と気になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事ではコンクリートの丸い跡の正体を暴いていきたいと思います。
コンクリートの丸い跡の正体とは?
コンクリートの丸いくぼみの正体は「Pコン」と呼ばれる金具を取り外した跡です。
これが「Pコン」と呼ばれるもので、コンクリートの壁や柱、梁などを作るための型枠を固定する金具の一部です。
このようにPコン、セパレーター、フォームタイを用いて型枠は固定されています。
型枠の中にコンクリートを流し込んだ後に型枠を解体することで、
コンクリートの壁や柱は完成します。
型枠を解体するときにPコンも外すことになりますので、そのPコンの跡がコンクリートの丸い跡の正体です。
Pコンの跡は、実際に皆さんが目にするコンクリートの丸い跡より深くなっています。
その深い穴をモルタルで埋めて仕上げてから初めて、
皆さんが目にするコンクリートの丸い跡の状態になります。
この「Pコン」と呼ばれる材料はとても良くできていて、コンクリートを打った後に取り外して繰り返し使用することができます。
コンクリートの丸い跡は必要か
コンクリートの丸い跡が必要か?というのはPコンが必要か?ということに置き換えられます。
Pコンには
○型枠を固定する
○壁などの厚みを一定に保つ
という役割がありとても重要な部材で、基本的には必要なものになります。
この「Pコン」を使わないで、コンクリートの壁などを作ることもできます。
しかし、これを使用すると、セパレーターの金属部分が表に出てしまうため、
見た目も悪く、さびが出てしまうという問題もあり、
コンクリートの壁が見えてくるところには基本的に使用しません。
つまり、Pコンは見た目、品質上必要になるという事です。
しかし、Pコンでできてしまった穴を全て壁の面まで、モルタルで埋めてしまえば、
あの丸い跡はなくすことができますし、実際にそういう方法をとる場合もあります。
この方法を「面(つら)合わせ」と言います。一方、くぼんだ状態とすることを「面落ち」と言います。
この2つに品質上大きな違いはありませんが、見た目の美しさで言うと『面落ち』の方が美しいとされています。
コンクリートの丸い跡もデザインとして考える
コンクリート打ち放しといえば有名な建築家で安藤忠雄氏がいます。
安藤忠雄氏の作品はこの丸い跡もデザインとして考え、決められた位置にくるように設計して図面も作成します。
これを「セパ割」といいます。セパレーターを割り付けるのでこういう呼び方になります。
実際は安藤忠雄建築だけが『セパ割』を行うわけではなくこだわりのある人や建物であったら、打ち放しコンクリートでは『セパ割』を行います。
コンクリートの丸い跡をおしゃれに利用する方法
上記で説明した、Pコンの穴をおしゃれに利用する方法があるみたいです。
それがこちらです。
何これ?
という感じだと思いますが、これをPコンの跡にできる穴に取り付けることによって
フックとして利用することができるという代物です。
Pコンの跡にはセパレーターの金物が残っているので、これがネジになっているので
回して取り付けるだけなのでとても簡単です。
セパレーターとは?
型枠工事の中でよく使う用語に『セパレーター』通称『セパ』というものがあります。
『セパレーター』とは、コンクリート型枠を構成する部材の一つで、コンクリートの側圧に対して、型枠が壊れてしまわないように型枠同士を固定する材料です。
そのセパレータ中でも種類がいくつかあり、よく使うのが「bセパ」や「cセパ」と言われるものになります。
経験のある人であれば当たり前にわかるかもしれませんが、頭文字しか違わず、
どっちがどっちだっけ?
となってしまうことがあります。
bセパとは?
正式名称はB型セパレーターと言います。
これが上記で説明したコンクリートの面の丸く凹んだ穴みたいなものをつくるPコンとセットで使われるセパレーターです。
cセパとは?
正式名称はC型セパレーターです。
C型セパレーターはPコンを使用しないセパレーターです。
これを使用すると、コンクリート型枠を解体した後のコンクリート面上にセパレーターの先端が飛び出て残ってしまうので、それを折って処理します。