この記事では、換気量の求め方について分かりやすく解説します。
換気量の求め方
換気量の求め方には、
①換気回数による計算方法
②法規制による計算方法
③許容値による計算があります
換気回数による計算方法
換気回数による計算方法では室の容積を求め、基準値となる部屋の換気回数を用いて換気量を算出します。
この方法では、許容値や汚染源の把握が出来ない場合、またこの換気回数で計画されても問題があまり生じない部屋の換気量計算に用いられます。
法規制による計算方法では、建築基準法などで室内環境基準を定め規制値や計算式により法的換気量を遵守するように義務付けられています。
したがって、法による換気量が技術的計算で求められた数値より大きい場合は、設計上の換気量としては法による換気量を用いなければなりません。
許容値による計算方法
許容値による計算方法では室内環境保持の為、室内の許容値と発生量が提示された場合その許容値を守るのに必要な換気量を計算によって求めます。
特殊な作業を行う部屋などに用いられますが一般的な部屋における換気回数の計算には用いません。
今回は換気回数による計算方法と法規制による計算方法を用いて実際の必要換気量を求めていきます。
居室の必要換気量
居室の換気回数には法規制による計算方法を用います
建築基準法第20条の2に基づき
V≧20Af÷N
V=有効換気量
Af=居室の床面積
N=1人当たりの占有面積
*Afに関して(換気上有効な窓などの開口部がある場合には「居室の床面積-20×(換気上有効な開口部の面積))とする
*Nに関して(特殊建築物の居室では、3を越えるときは3とし、その他居室では10を越える時は10とする)
今回の例題計算では換気上有効な窓はないものとして行います。
例 居室の床面積 25㎡、一人あたりの占有面積 10㎡とした場合
20×25㎡÷10=50㎥
1時間あたり50㎥の換気量が必要となります。
例 100㎡の会議室に常時10人の在室者がいる場合の換気量を求める
1人当たりの占有面積を求める
N=100÷10=10㎡
V=20×100÷10=200㎥
1時間あたり200㎥の換気量が必要となります。
便所の必要換気量
便所の換気量は主に換気回数による計算を行います
例 床面積30㎡、天井高2.5mの便所の必要換気量を求める
便所の室容積は30×2.5=75㎥
便所の必要換気回数は5回から15回であり中央値の10回を採用し75㎥×10回とする
必要換気量は合計750㎥/hとなります
浴室の必要換気量
浴室の換気量は主に換気回数による計算を行います
例 床面積10㎡、天井高2.5mの浴室の必要換気量を求める
浴室の必要換気回数は3回から7回であり中央値の5回を採用し10㎡×5回とする
必要換気量は合計50㎥/hとなります
必要換気回数
主な部屋用途の必要換気回数の数値を以下示します
便所・洗面所 5回から10回(回/h)
湯沸室 6回から10回(回/h) *湯沸室に関しては法規制による計算を用いる
書庫・倉庫 5回(回/h)
浴室・シャワー室 3回から7回(回/h)