用語の解説 設計図

マンションバルコニーの隔て板とは?意味や基準、材質について分かりやすく解説!

バルコニーの隔て板とは、手前のバルコニーから避難用ハッチがあるバルコニーへ、通り抜ける際に間にある仕切りのこと。

この記事では、バルコニーの隔て板の意味や基準、材質について解説します。

バルコニーの隔て板とは

マンションなど共同住宅では、避難上有効とされるバルコニーから避難用ハッチなどで地上へ避難できる手段が用意される場合、手前のバルコニーから避難用ハッチがあるバルコニーへ、間にある仕切りを通り抜ける必要があります。

このとき通り抜けを可能とする仕切り板の部分を「隔て板(へだていた)」といいます。

 バルコニーの隔て板は、隣との普段のプライバシーを保護しつつ、非常時には容易に破って避難できるように、大きさや床面からの高さなどに一定の基準が定められています。

バルコニーと避難

建物には、火災などの災害時に中にいる人々が安全に避難できるよう、建築主や管理者が遵守しなければならない基準が定められています。

その基本的なものの一つが、地上や避難階といわれる階への避難のための直通階段設置の義務であり、一定の条件にある建物には原則として2つ以上の直通階段(2方向避難)を確保することが必要とされます。

また2以上の直通階段への経路には、歩行距離とともに重複距離(合計長さの1/2以下)の基準も満たす必要があります。

そこで、マンションなどの共同住宅については、一般的な準耐火構造以上で各階の床面積の合計が200㎡を超えるものは2つ以上の直通階段が必要になり、あわせて歩行距離と重複距離の基準も満たす必要があります。

ただし6階以上のもので重複区間を経由しないで「避難上有効なバルコニー」などに避難することができる場合は、2つ以上の直通階段の規定の適用は免除されることになっています。 

「避難上有効なバルコニー」とは、避難ハッチなどの避難器具が設置され災害時にタラップ等を使い地上まで避難できるバルコニーをいいます。

一般的に、マンションなどの共同住宅では、バルコニーは外気に面したものとし、この「避難上有効なバルコニー」の機能と条件を備えたものとなっています。

 なお、「避難上有効なバルコニー」の必要な構造については、国による技術的助言とともに、それぞれ特定行政庁ごとの取り扱い規定等に具体的に示されています。

隔て板に関する基準

「避難上有効なバルコニー」において、隣接するバルコニーとの間に設置される隔て板については、「消防法施行令第25条による避難器具の設置等の技術上の基準」によって次のように定められています。

(隔て板の大きさ等)

隔て板の大きさは、高さ80cm以上、幅60cm以上、床面から15cm以下とし、隔て板を通過して避難用ハッチまでの通路の距離は最低60cm以上を確保する。

なお避難用ハッチの一辺の長さを70cmとする場合は、隔て板の幅及び通路の距離は70cm以上とする。

また特定行政庁によって、隔て板の高さをより高いものにしたり、避難用ハッチに至るまでに通過できる隔て板の個所数を制限するなど、「避難上有効なバルコニー」から地上への避難方法については、特定行政庁ごとの取り扱い規定等の確認が必要です。

隔て板の材質等

隔て板は、火災などで隣のバルコニーへ避難が必要になった際に、足で蹴破るなどして破壊します。

材質については、不燃材であり破壊も可能となる次のものが多く用いられています。

珪酸カルシウム板(ケイカル板)

ケイ酸質や石灰質で造られ、軽くて割れやすい。

フレキシブル板

セメントで造られ、ケイカル板より硬さがあります。

-用語の解説, 設計図

Copyright© ゼネコン , 2024 All Rights Reserved.