「今度業務で携わることになったけど、サンドドレーン工法って何?先輩や関係箇所と打合せするときに恥をかかないよう基礎的なことを身につけておきたい。」
こんな疑問お悩みにお答えします。
本記事では、サンドドレーン工法(SD)工法について、基礎知識や施工方法などを解説します。
また、サンドドレーン工法の特徴についても解説していますので、応用を知りたい方にもおすすめの記事となっています。
サンドドレーン工法とは、砂柱(サンドドレーン)を地盤中の鉛直方向に適当な間隔で構築し、圧密沈下促進を図る工法。
この記事では、サンドドレーン工法の意味、設計方法、施工方法について解説します。
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サンドドレーン工法とは
軟弱地盤対策における工法には、様々な種類の工法が存在しますが、サンドドレーン工法も軟弱地盤対策の1つです。
そもそもサンドドレーンとは、「砂柱」という意味です。
サンドドレーン工法では、透水性の高い砂を用いた、この砂柱(サンドドレーン)を地盤中の鉛直方向に構築することにより、地盤中の水分を毛管現象により吸い上げ、軟弱地盤の圧密を促進し、地盤強度を増加させることを目的とした工法。
サンドドレーン工法は、圧密沈下が懸念される粘性土地盤へ利用され、施工性や経済性も比較的優れているため、様々な建設現場で活用されています。
サンドドレーン(SD)工法とは、軟弱地盤対策工法のひとつで、地盤中に透水性の高い砂杭を鉛直方向に連続して打設し、排水性を高める工法をいいます。
具体的に透水性の高い砂杭を打設すると軟弱地盤内に排水路が作られ、圧密にかかる時間を短縮できるといった仕組みです。
そのため、軟弱地盤が改良され上部の構造物が安定して建造することが可能になります。
サンドドレーン工法の設計
サンドドレーン工法は、砂柱(サンドドレーン)を地盤中の鉛直方向に適当な間隔で構築し、圧密沈下促進を図る工法です。
粘性土層の圧密に要する時間は、地盤中の排水距離の2乗に比例します。
ここでの排水距離は、粘性土層における層の厚さ方向の距離となります。
そのため、軟弱地盤層が厚いほど、圧密に要する時間も長くなり、長期間、軟弱地盤上の構造物に悪影響を及ぼすことになります。
サンドドレーン工法では、軟弱地盤層に構築した砂柱により、水平方向への排水を促し、排水距離を短くすることにより、圧密に要する時間を短縮させる仕組み。
サンドドレーン工法の設計では、砂柱の径、間隔、改良深さを仮定し、圧密度を算出し、安定の検討を行います。盛土の安全率や残留沈下量が許容範囲を超える場合、再度砂柱の間隔、改良深さ等を修正し、再度検討を行う手順で設計を行います。
実務での設計においては、「道路土工軟弱地盤対策指針(道路協会発刊)」などの書籍を参考に設計を行うことが、一般的です。
サンドドレーン工法の施工方法
サンドドレーン工法の施工では、まずケーシングと呼ばれる鋼管を所定の深さまで貫入します。
その際、水の力などを利用して、ケーシング内の土は排除します。
ケーシング内の土を出した後、砂を充填します。
充填が完了後、ケーシングを引抜きます。
この一連の作業を、所定の位置及び間隔で行い、サンドドレーンを構築していきます。
杭の打設位置と間隔、投入するべき砂の量などに留意して、施工を行います。
サンドドレーン工法の今後
サンドドレーンに使用される材料として、砂が大量に必要となります。
砂の調達は、土の採掘や運搬など、環境への悪影響も懸念されています。
また、施工箇所によっては、調達自体が困難であることもあります。
砂に代わる材料として、プラスチックを主材料としたドレーン材が開発されています。
このような材料を利用することにより、砂の調達に関わる環境への悪影響や建設コストの低減を図ることができます。
今後は、施工性や経済性だけでなく、環境への配慮も重視した検討が必要となると考えられます。
サンドドレーン(SD)工法の施工手順とは【種類によってそれぞれ解説】
サンドドレーン工法には以下の2種類があり、それぞれ施工方法が異なります。
- マンドレルによる施工手順
- ウォータージェットによる施工手順
どちらの施工方法を採用するかは、施工業者の得意な方法や費用などを勘案したうえで検討すると良いでしょう。
マンドレルによる施工手順
マンドレル(心棒)を用いて、砂杭を打設する施工手順です。
- マンドレルの先端シューを閉じ、所定の位置に設置する
- 振動によりマンドレルを打ち込む
- 打ち込んだマンドレル内に砂を投入する
- 砂の投入口を閉じて圧縮空気を送る
- 「4.」を行いながら、マンドレルを引き抜く
ウォータージェットによる施工手順
ウォータージェットによる水圧を利用して、砂杭を設置する施工手順です。
- ケーシングを所定の位置におく
- ケーシング内にジェットロッドを入れ、水を噴射
- ケーシングを所定の深さまで入れたら、中の土をよく流し出す
- 砂を充填
- ケーシングを引き抜く
サンドドレーン(SD)工法の特徴とは
サンドドレーン工法には一体どんな特徴があるのでしょうか。
主な特徴としては以下の3つがあげられます。
- 液状化対策に有効
- 排水距離の短縮
- コスト削減が可能
それぞれの効果について詳しく解説していきます。
液状化対策に有効
サンドドレーン工法は、地震の際に液状化現象が起きにくいのも特徴のひとつです。
液状化現象とは、地震により地盤内にある質量の重い砂や土が下層へ、質量の軽い水分が上層へ分離する現象のことをいいます。
液状化現象が起きると地盤沈下の原因になり最悪の場合、建造物が傾斜するおそれがあります。
しかしサンドドレーン工法では、大量の砂杭を一定間隔に打設することで、排水路を確保し、そもそも液状化現象が起きにくくなるのです。
軟弱地盤対策のひとつでもあるサンドドレーン工法ですが、地震による液状化対策が可能なことも特徴のひとつとしてあげられるでしょう。
排水距離の短縮
軟弱地盤から迅速に水分を取り除けるのも、サンドドレーン工法の特徴といえます。
透水性の高い砂杭を一定間隔に連続で打設するので、どの位置からでも均等に排水することが可能なためです。
そのため、排水距離を短縮できることもサンドドレーン工法の特徴といえます。
コスト削減が可能
サンドドレーン工法は他の工法と比較すると、費用や作業日数を抑えられることが特徴のひとつです。
なぜなら杭を打ち込むサンドドレーン工法は、地盤の掘削作業を必要としないため、その分のコストがかからないからです。
くわえて、そのままの状態から杭を打ち込み砂を注入できるため、掘削作業が伴わず作業日数の短縮も見込めます。
多面的にコスト削減が可能なこともサンドドレーン工法の特徴といえるでしょう。
まとめ:サンドドレーン工法を知り土木のスペシャリストを目指そう!
本記事をまとめますと、
- サンドドレーン(SD)工法について
- 各施工手順
- 特徴
以上について解説しました。
サンドドレーン工法は軟弱地盤対策工事では、比較的古くから歴史のある工法です。
活用事例としては、関西国際空港や中部国際空港などの空港施設、火力発電所や工場などのエネルギー施設があげられます。
まずは基礎の軟弱地盤工法であるサンドドレーン工法を深く知り、最前線に立つ土木のスペシャリストを目指しましょう。