山留工事 用語の解説

切梁とは?目的、設置間隔、腹起しとの違い、火打との関係について分かりやすく解説!

2023年1月17日

切梁とは、山留壁に作用する応力を受ける山留材の一部。

この記事では、切梁の目的、設置間隔、腹起しとの違い、火打との関係について解説します。

切梁とは?

切梁(きりばり)とは山留壁(やまどめかべ)、腹起し(はらおこし)に作用する応力をうける山留材のこと。

主にH型鋼材にボルトで緊結するための穴を開けて加工してあるものをリースで使うことが多いです。

山留材のサイズはH200〜H500。

一般的に支保工として利用される山留材はH300以上です。

土木工事の設計においては道路土工ー仮設構造物工指針(日本道路協会)や建設工事公衆防止対策要綱にはH300×300以上を使用することが記載されています。

掘削の深度が深くなるほど、鉛直方向に1段、2段、3段と切梁が増加する。

これらのことを山留支保工(やまどめしほこう)といいます。

切梁を利用した切梁方式の山留支保工が最もポピュラーな山留方式。

その他の支保工

アンカー方式

アンカー方式は掘削周辺の地盤中に定着させたアンカー及び地盤抵抗によって土留め壁を支持する工法です。

切梁方式と違って、掘削内面に切梁を設置しないので、重機による機械掘削の制限が少なく、編土圧が作用する場合でも適用が可能な方法です。

しかし、アンカーを定着させるための強固な地盤やアンカーを打設するためのスペースが必要。

アンカーを打設するのに構造物や埋設物があるとアンカー施工ができないので適用は不可。

施工終了後、アンカーを地中に残置することで将来、周辺で工事を行う際に障害となる恐れがあります。

自立方式

自立方式は最も容易でコストのかからない土留め支保工ではあるが、掘削深度の制限があり、比較的浅い掘削(水道や下水道工事の布設など)の制限があります。

地盤の抵抗力のみで土留め壁を自立させるので、強固な地盤であることが必要。

しかし、支保工がなく、地盤の変位が大きいため、土留めの変形が多くなります。

切梁の目的

切梁は腹起しから作用する応力(軸力、圧縮力)を減らしたり、変形を抑制させるもの。

切梁にはオイルジャッキを取付けてプレロードをかけることが可能。

プレロードをかけることで継ぎ手部分の緩みや腹起しと山留壁との隙間を除去して山留壁と支保工の密着性を高めることができます。

また、山留壁の変形を抑制することで周辺地盤の沈下や変形を小さくすることが可能。

事前にプレロードをかけることで大きな軸力を導入し、山留全体の安全を確保できます。

切梁を解体する時にはオイルジャッキで徐々に圧力を解放させることで安全を確保します。

施工時は50mを超える切梁の場合はオイルジャッキ1つだと軸力を賄いきれないので、オイルジャッキを2つ使用することや、ジョイント部は均等に圧力をかけるために1スパン毎に設置することが理想です。

夏場など、気温上昇に伴う温度応力の影響で軸力が増加するので注意が必要。

切梁と腹起しとの違い

腹起しは掘削した地山に設置した山留壁に対して水平に取付けます。

切梁は応力を受けるのに対して腹起しは山留壁から作用する応力を切梁や火打ちに伝達する機能を有しています。

応力を確実に切梁、火打ちに伝達するために山留壁と腹起しの間には裏込め材を挿入し、

腹起しを受けるブラケットは水平を保ち、均一に自重がかかるようにする必要があります。

切梁の設置間隔

切梁を設置するには掘削深度に併せて1段、2段、となるので、一次掘削、二次掘削となります。

一段目の切梁を設置するための一次掘削は切梁をまだ設置していない状態なので、山留壁は自立している状態。

一次掘削の深度の目安は

良質地盤の場合はGL-2.0m~2.5m程度。

軟弱地盤の場合はGL-2.0m~3.0m程度。

※目安なので、各現場の地盤や土質の条件により異なります。

二次掘削以降は切梁の設置間隔が3.0m~4.0m程度(目安)とします。

軟弱地盤の場合は上記より間隔を短くすることも。

切梁の最下段の位置は床付け掘削するためのバックホウが作業するためのスペースを確保するために床付けから最下段切梁まで3.0m以上は確保したいです。

切梁と火打ちの関係

火打ちとは腹起しを補強するためのもの。

火打ちを設置することで切梁の水平方向の間隔を広くし、作業スペースの確保が可能です。

火打ちを設置する際は必ず左右対称にすることが重要です。

左右のバランスが崩れると山留の崩壊の恐れがあります。

まとめ

切梁は山留壁、腹起しから伝達される応力を受ける非常に重要な山留材です。

設置方法を間違えると山留の崩壊が起き、大きな事故になることも…。

また、切梁は掘削の作業性にも影響するため十分な安全性および施工性を考慮した設計が大切になります。

現場の環境や地盤、土質条件に則した設計を心がけてください。

 

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