用語の解説 設計図

軒天とは?役割や目的、素材や種類を解説

2022年5月17日

建物の外部で目立ちにくい場所にあるのが、軒天です。

外部に関わる部分なので、軒天というものをしっかり把握しておくことで、適した材料や作り方を理解することができます。

軒天とはどのようなものなのか、以下に紹介します。

軒天とは

軒天というのは、建物の外壁から外側に向けて伸びている屋根の延長部分の裏側であり、地上から見ると屋根が飛び出している部分の天井のような部分です。

軒天とは

軒天について、以下に特徴をご紹介いたします。

軒天の役割や目的

軒天の役割や目的は、主に以下の3つが挙げられます。

軒下を美しく見せる

軒の下に軒天を作らない場合、地面から軒を覗くと野地板や屋根垂木が丸見え状態になるので、見た目が良くありません。

軒下の天井である軒天を創ることにより、軒下を美しく見せることができ、外観の美しさも造ることができます。

火災の際に炎症の広がりを防ぐことができる

軒天に使う材料は防火材料がほとんどなので、火災が発生した際に建物から火の手が上がった際に、軒天の防火効果により屋根裏まで炎が広がりにくくなります。

そのため、火災の被害を最小限に留めることができます。

屋根裏換気ができる

軒天に使う材料は、ある一定の間隔で穴の開いている有孔板を使うことが望ましいです。

また、軒裏換気口を設置することにより、屋根裏に湿気を溜める事を防ぐことができ、内部結露防止になります。

軒天の形

軒天の形には、以下の2つがあります。

水平軒天

水平軒天とは、地面に水平に作った軒天です。

昔は水平軒天が主であり、時代の流れで勾配軒天が採用されることが増えてきました。

しかし、近年の建物は水平軒天が多くなってきています。

その理由は、強風の際に屋根が飛ばされにくいことです。

大型台風などの災害が多くなってきていることにより、軒天の形も見直されるようになりました。

水平軒天は、洋風の雰囲気を表現します。

勾配軒天

屋根の勾配に合わせた軒天の傾きであり、地面から見ると三角に見える軒天です。

勾配軒天の方がすっきりとした感じに見えるとのことで、採用する工務店も多くあります。

切妻屋根の場合、勾配軒天の方がすっきり見えるので採用される事が多くあります。

勾配軒天は、和風の雰囲気を表現します。

軒天の素材

軒天の素材は、いくつかあります。どのような素材の種類があるのか、以下ご紹介します。

軒天ボード

以前は、主に使用されていた軒天材です。文字通り、軒天に張る専用のボードです。

石膏などを主な原料としており、近年はリサイクルが可能な軒天ボードもあります。

ケイカル板

ケイカル板は近年は軒天に使う材料の中で、軒天ボードと対を張るほど需要が多くなった材料です。

珪藻土と消石灰、石綿などを混ぜて出来た合板です。

軒天だけの用途ではなく、台所や洗面所、暖炉などの壁や天井にも使われることがあります。

合板

合板は、文字通り木製の材料を圧縮して作った板です。

昔は軒天によく使われた材料ですが、防火上の関係で近年は使われる事は少なくなってきました。

合板なので軒天ボードと比べると非常に軽いのですが、耐久性もなく防火性もないのが難点です。

フレキシブルボード

フレキシブルボードは、セメントに繊維質の材料を混ぜて作った板材です。

別名「繊維強化セメント板」とも呼ばれています。

法定不燃材であり、防火効果を発揮します。

金属板

軒天用に加工した金属板であり、ガルバリウム鋼板やアルミスパンドレルなどの錆びにくい材料を使っています。

金属製ですので、軽い部分が大きなメリットです。

他の軒天の材料とは異なり、軒天に豪華さを与えてくれます。

軒天と似たような名称との違い

軒天という名称は、他にも似たような名称があります。

軒天と似たような名称とは何が違うのか、以下にご紹介いたします。

軒裏との違い

軒裏というのは、外壁面から出ている軒の下面のことをいいます。

軒天を作った場合の軒天部分も軒裏ともいいますが、軒天を作らず野地板や野地垂木があらわしになっている場合でも、軒の裏側には変わらないので軒裏と呼びます。

和風建築の場合、野地板や野地垂木をあえて化粧として見せる「化粧軒裏」とする場合も多くあります。

軒下との違い

軒下とは、軒の下の全ての範囲を指し「軒下で雨宿りをする」という言葉は、まさに軒の下に入って雨宿りをするということになります。

軒下を軒天や軒裏と記載している場合もあるようですが、厳密には軒の下の全てのスペースを軒下といいます。

軒との違い

軒は、外壁から外部に突出した屋根部分をいいます。

外壁から屋根が突出していることにより、雨などの外的刺激から外壁や開口部を守る役割を担っています。

軒天には2つのタイプがある

軒天には、以下の2つのタイプがあります。

ボードタイプ

軒天で主流なのが、ボードタイプです。

軒裏に垂木などを使って木下地を作り、そこに軒天の材料を張る方法です。

外壁一体タイプ

外壁一体タイプは、軒天に外壁材料と同じ材料を使って作るタイプです。

外壁と軒天は全く違う材料と違う色で作ることが当たり前でしたが、近年は外壁と同じ材料で作成して一体感を出すことでモダンな外観を演出させるパターンも増えました。

軒天はメンテナンスが大事

軒天は建物に必要である部位であり、外部にあり雨や紫外線などの外的刺激の影響を受けるので、経年劣化が発生します。

そのため、軒天にはメンテナンスが必要となります。

軒天のメンテナンスのポイントを、以下にご紹介いたします。

軒天のメンテナンスのサイン

軒天のメンテナンスのサインは、塗膜の劣化や変色、シミです。

見た目にはっきりわかる劣化の発生なので、誰でもわかるサインです。

放置しておくと塗膜の剥がれや欠落、穴が発生してしまいます。

軒天オススメの人気色とは

軒天の人気の色は、白もしくは明るい色です。

木目調の場合は、木に見合った色合いを採用します。

軒天というのは日光が当たりにくいので、少し暗めに見える部分です。

そのため、明るい色を選ぶと綺麗に見えます。

軒天張り替え補修

軒天の素材自体が劣化しており塗装などでは解決できない場合、軒天板や木下地などを取り替えないといけなくなってしまいます。

少しの劣化であれば部分的な張り替え補修でも良いですが、一部のみでも大きな破損が発生している場合は、軒天全てを取り替えるべきです。

一部分だけ張り替えてしまうと劣化のスピードが部分的に変わってしまうので、良くありません。

-用語の解説, 設計図

Copyright© ゼネコン , 2024 All Rights Reserved.