構造力学 用語の解説

せん断応力とは?意味、照査方法、せん断に対する補強について分かりやすく解説!

2022年11月23日

断面力と応力

断面力

構造物の設計を行うとき、構造物をビームモデル(梁モデル)またはシェルモデル(版モデル)とすることが一般的です。

断面力とはビームモデルまたはシェルモデルの1点に作用している力になります。

その力には軸方向、軸直角方向、曲げ方向に分かれています。

それぞれ軸力、せん断力、曲げモーメントになります。

応力

応力とは、設計計算で算定した断面力から算出する面積当たりの力になります。

構造設計における応力照査とは、作用している応力に対して構造が成立する材料仕様を決定することを言います。

断面力と同様に軸方向、軸直角方向、曲げ方向に分かれています。

それぞれ軸応力、せん断応力、曲げ引張応力、曲げ圧縮応力になります。

せん断力とは?

曲げモーメントとせん断力

荷重が作用している梁の断面にはせん断力および曲げモーメントが作用します。

その大きさは部材のスパン長、荷重の大きさ、支持条件によって算定されます。

曲げモーメントは物体を回転させる力で、せん断力は軸直角方向にずれを生じさせる力です。

両者は無関係に見えますが、曲げモーメントを微分した値がせん断力になります。

せん断力による破壊

せん断力による破壊は、耐力を急激に失う特徴があります。

この破壊が構造物を支える柱などに発生してしまうと、他の部材への負担が急激に増加するので致命的な構造物の崩壊につながります。

耐震設計ではせん断破壊が起きないことに配慮するために、曲げ破壊がせん断破壊よりも先行するように設計することがあります。

このように配慮すれば、曲げ破壊による剛性低下が先行してせん断破壊を防ぐことができます。

せん断応力とは?

せん断応力

せん断応力とはせん断力を断面積で除した応力を指します。

算定したせん断応力が材料の許容応力を超過すると部材に斜め引張ひび割れが生じて破壊に至ります。

この斜め引張による破壊を防ぐための補強筋をせん断補強筋またはスターラップと言います。

せん断ひび割れ

せん断力によるひび割れは下図に示す通り、斜め方向にひび割れが生じます。

発生する要因は、曲げひび割れと同じくコンクリートが引張に弱いことになります。

せん断力が大きく、曲げモーメントが小さい場合はウェブの曲げひび割れが発生しない部分にウェブせん断ひび割れが発生します。

せん断力、曲げモーメントともに大きい場合は曲げせん断ひび割れが生じます。

断面力の生じ方により、ひび割れが生じる位置が異なります。

せん断応力照査

照査方法

部材に使用する材料に許容せん断応力を設定し、発生した応力と比較して照査します。

照査方法は部材の特性によって異なるため、設計指針を確認して設計する必要があります。照査の方法を2種類紹介します。

部材端部から部材高さHの半分離れた点で照査を実施する。
せん断スパン比を考慮して、ディープビームの範囲に入る場合は考慮した耐力式を適用する。照査する位置はせん断スパン毎に照査を実施する。

照査位置・方法により、必要なせん断補強は変わります。

例えば上記の2つについて比較すると、後者の方が部材端部のコンクリートが受け持てる耐力が大きくなるためせん断補強鉄筋の仕様は小さくなります。

照査結果の適用範囲

せん断応力照査で算定された必要な補強をどのような範囲に適用するか決定する必要があります。

1か所の照査で決定した部材に必要な補強仕様を部材全体に適用する方法があります。

安全側の設定で確実ですが、合理的な配置ではないという見方もできます。

せん断スパン毎に補強仕様を変える方法もあります。

設計の煩雑さと補強に必要な費用との兼ね合いとなるので、設計協議にて定める必要があります。

せん断補強筋の配置

せん断補強筋の目的

せん断補強筋は、コンクリートの斜め引張破壊を防ぐ目的で配置されます。

したがって、補強筋の配置間隔はせん断力に抵抗できるように配慮する必要があります。

計算上補強が必要であるという結果が算定された場合、部材の有効高さの半分以下程度の間隔とする必要があります。

せん断ひび割れは部材軸方向に対して45°程度に進展していくため、その引張応力に抵抗するためにはその程度の間隔にしておく必要があります。

配置上の注意点

せん断補強筋は主筋と配力筋が交差する部分に配置することが一般的です。

耐震設計上、地震時に発生する主筋のはらみ出しを防ぐことを目的として、主筋と配力筋両方にかけることが望ましいです。

部材幅が変わる構造物については、配力筋の配置を平面上で調整する部分があります。

この時にせん断補強筋をどのような間隔で配置するか、配筋図作成時に十分に検討する必要があります。

必要なせん断補強が部材断面方向に配置できているか確認が必要です。

部材断面方向でせん断補強筋が変更になる場合、実際の配筋図に対してどのように適用するか考える必要があります。

例えば、部材端部からの補強範囲を一定として構造物全体に適用するなどの考え方があります。

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