配筋とは、RC構造の建物で、図面および仕様通りに鉄筋を配置すること。
この記事では、配筋の目的、種別、方法、注意点について解説します。
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配筋とは?
鉄筋コンクリート構造物などに使用される鉄筋を図面(配筋図)どおりに配置すること。
配筋図は、鉄筋コンクリート構造物内部の鉄筋の直径、寸法、位置などを表した図面。
鉄筋には丸鋼と異形棒鋼があり、鉄鉱石を溶解して銑鉄を製造する溶解炉からつくられる鋼材を高炉物〔こうろもの〕、電熱によって加熱する電気炉からつくられる鋼材を電炉物〔でんろもの〕という。
配筋には節付きの異形棒鋼が一般的に使用され、材質としてはSD295A、SD345、SD390などが主流となっている。
配筋の目的
一般的なコンクリート構造物において、コンクリートは圧縮力に対しては大きな強度を発揮するが、引張力に対しては比較的強度が弱い。(圧縮力の1/10程度)
そこで、コンクリート構造物の引張力を補い構造的な耐力を増加させる目的で、コンクリート構造物内部に配筋を行う。
つまり、鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートの構造的な弱点を補いあった材料であり、コンクリートは圧縮力、鉄筋は引張力に抵抗する。
圧縮強度(N/mm2) | 引張強度(N/mm2) | |
コンクリート | 18~35 | 1.8~3.5 |
鉄筋 | - | 400~600 |
配筋の種別
主筋
鉄筋コンクリート造で主に曲げに対して効くように配置される鉄筋のこと。
柱では縦筋、梁では横に走る鉄筋、床では短辺方向の鉄筋のこと。
帯筋(フープ)
柱筋の主筋を束ねる状態で、主材に対して直角に帯状に配置される鉄筋のこと。
柱に使用される場合は、一般に150mm以下の間隔で配置する。
あばら筋(スタラップ)
梁筋の主筋を束ねる状態で、主材に対して直角に帯状に配置される鉄筋のこと。
梁使用される場合は、一般に250mm以下かつ梁せい(梁高さ)の3/4以下の間隔で配置する。
腹筋
梁せいが600mm以上となる場合、スタラップが平行四辺形状に変形し、きれいな配筋が行えない。
そのような場合形を整えやすくするために、梁の上下の主筋と平行に配置する呼び径の小さい鉄筋のこと。
幅止め筋
梁のスタラップの間隔を一定に保つ配筋や、スラブ上下の鉄筋の間隔を一定に保つために配置する鉄筋のこと。
一般的に1mピッチ程度で配置する。
補強筋
各種スリーブや開口部の隅などには大きな引張力が生じるため、壁や床の中央部鉄筋では負担しきれなくなることが多い。
そのために、斜めに配置する比較的径の大きい鉄筋のこと。
ひび割れ防止や構造物の強度を確保するために必須であり、補強の対象となるものによって開口補強筋、スリーブ補強筋、せん断補筋などがある。
配筋の方法及び留意点
- 配筋図に基づいて、所定の位置に所定の鉄筋(鉄筋径・形状の確認)を配置する。
- スペーサーを使用して、所定のかぶり寸法(鉄筋表面とこれを覆うコンクリート表面までの最短距離)を確保する。なお、鉄筋のかぶり寸法及びスペーサーの配置数量は、各部位および位置で定められている。
- 最小かぶり厚さを確保するため施工にあたっては、柱・梁などのかぶり最小値に10mmを加えて配筋する。
- 鉄筋相互の交差部は結束線などを用いて、コンクリート打設時等に鉄筋が動かないよう緊結する。
- 鉄器の定着寸法は、部位や鉄筋種類・コンクリート強度などによって定めらており、 原則として応力の小さい位置でかつコンクリートに圧縮応力が作用する箇所に設ける。
- 鉄筋相互のあき寸法の最小値は、コンクリートの粗骨材の最大寸法の1.25倍、25mm、鉄筋径の数値の1.5倍(鉄筋径が異なる場合はその平均値)のうち、一番大きな値とする。
- 鉄筋に継手を設ける場合は、設計図書に基づいて重ね継手、ガス圧接継手、特殊継手などとする。
配筋検査
配筋検査とは、鉄筋が配筋図に基づいて適切に配置させているかを検査すること。配筋完了後のコンクリート打設前に下記の内容を検査する。
- 鉄筋の径
- 鉄筋の配置(結束の状態)
- 鉄筋のピッチ
- 鉄筋の継手の位置
- 鉄筋の継手の長さ(重ね継手)
- 鉄筋の定着長さ
- がぶりの厚さ(スペーサーの位置・数量・間隔)
- 補強筋の配置
コンクート打設後(完成時)には、配筋状況は不可視部となるが、配筋状況は構造物の構造上の重要な要素であり、配筋検査はその中でのキープロセスといえる。