間仕切り壁とは、空間の分割使用のために設けられる仕切り壁のこと。
この記事では、間仕切り壁の意味、耐力壁との違い、部材について解説します。
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間仕切壁の意味
はじめに、建物とは基本的に目的とされる空間と、その空間を支える構造体等の部分で造られているといえます。
一方、建物が安全な構造体である限りにおいては、全ての空間の単位が構造体である壁(耐力壁)だけで造られる必要はありません。
建物内部の空間は、構造体である内・外壁の部分による仕切り以外でも、必要となる様々な使い方から、通常さらにいくつもの部屋に分割して使用されます。
このもっぱら空間の分割使用のために設けられる仕切り壁を「間仕切壁」といいます。
なお、空間の分割使用という目的で設置されるものには、可動式で衝立状に設置されるものもありますが、間仕切壁とは主に固定されて設置されるものを指します。
耐力壁との違い
建物の構造体とは、自らの重さと人や自然の営みなど、建物への様々な力に対して壊れずに支えるための骨格的な部分をいいますが、このうち外壁や建物内部の壁でその役割を担う部分が「耐力壁」です。
耐力壁は、上からの荷重や地震、風圧などに対して、基礎、柱、梁等と連動して一体的に支えるように造られます。
したがって、耐力壁は構造体の一部としての性能が求められ、他の構造体部分との結合や接続には必要な強度を持たせるために特別な基準が定められています。
一方、間仕切壁はこの構造上の制約を受けなくてもよい壁といえます。
ただし目的とする空間の分割使用のためには、間仕切壁は必要な性能が維持され倒壊せず安全に床、柱、梁などに固定されている必要があります。
また間仕切壁には、耐力壁が間仕切りの目的も兼ねて造られる場合があります。
初めから室内空間が細かく分割される木造住宅などのケースで多く見られますが、この場合、安易な改修等により耐力壁が撤去されることのないように注意が必要です。
間仕切壁に求められる性能
間仕切壁には、構造体としての耐力性能は求められない反面、空間の分割使用のため一般的に次のような性能は必要となります。
➀耐火性
住宅の台所など、火気を使用する場所における一定時間燃えない耐火性能
➁遮音性
プライバシーの確保や音の遮断が求められる遮音性能
③断熱性
室内環境の維持やエネルギーの効率化の観点から求められる断熱性能
④軽量性
比較的容易に設置又は解体することができるよう軽量であること
間仕切壁の部材
間仕切壁には、構造体の種類によって部材に大方の傾向があります。
そこで構造体の種類別に「下地(芯)+表面下地+仕上げ」の構成で、一般的に多く使われる部材をあげると次のとおりです。
➀鉄筋コンクリート造(RC造)又は鉄骨造(S造)の場合
・軽量気泡コンクリートパネル + 各種塗装材(両面)
・軽量型鋼(LGS) + 石膏ボード(両面) + クロス又は塗装材等(両面)
➁木造(W造)の場合
・木材 + 石膏ボード(両面) + クロス又は塗装材等(両面)
芯材と表面下地材を兼ねる軽量気泡コンクリートパネルは、軽量で特に耐火性に優れており、比較的大型の建物で使われます。
石膏ボードは、耐火、断熱、遮音性の他、加工性や経済性にも優れた部材であり、耐火、断熱、遮音性を高めるためには厚みを変えて使われます。
間仕切壁の遮音性をより高めようとする場合は、間仕切壁の内部にさらにグラスウールやウレタンフォーム等を入れて音を減衰させることも行われます。