この記事は法面保護工法の種類について解説します。
法面保護工とは
法面保護工とは、法面表層部を水や空気などによる風化から保護し、さらに降雨による雨水が法面表面を浸食するのを防ぐ役割を果たします。
主な法面保護工法として、法面表面に種子等を散布して植生を促す「植生工」と、コンクリートや構造物を法面上に構築して安定を図る「構造物による法面保護工」があります。
ただし、これらの法面保護工法は、法面自体が安定していることを前提とした工法となります。
そのため、擁壁工のように土圧に抵抗できる工法ではないので、工法を検討する際には、注意が必要です。
法面保護工法の種類
法面保護工法には主に
- 植生工
- 構造物による法面保護工
の2つに大別されます。
植生工とは
植生工は、植物による法面保護工で、構造物による法面保護工は、コンクリートや構造物による法面保護工となります。
植生工の種類としては、種子や肥料等を散布し法面の植生を促す工法と、あらかじめ種子が張り付けられたシート(植生シート)を法面に被覆し、植生を促す工法などがあります。
いずれの植生による工法も、水や空気による法面表面の風化を防ぎ、雨水による浸食を防止することが、主な目的となります。
構造物による法面保護工とは
構造物による法面保護工の種類としては、モルタル等を法面上に吹付ける工法や、コンクリートブロック等を法面上で組み立てる工法などがあります。
構造物による工法は、様々な種類があり、モルタル吹付工などは、風化・侵食防止が目的となりますが、コンクリートブロックによる工法や、コンクリートを格子状に構築していく法枠工などは、ある程度土圧にも抵抗できる構造となっています。
工法を選定の際は、想定されるリスクを考慮し、適切な工法を選択することが必要です。
法面保護工法の設計
法面保護工の設計は土質、法面の勾配、施工箇所の気象特性などを考慮して行われます。
植生による工法の設計では、土質、勾配、風化の程度などを基に、工法の検討が行われます。
植生材の厚さも検討が必要となり、施工箇所の日照状況や気象特性を基に厚さが決定されます。
構造物による工法の設計では、風化・侵食防止が目的であれば、モルタル及びコンクリート吹付工がよく採用されます。
法面表層部の崩壊が懸念される場合では、法枠工などが採用されます。
大規模な崩壊が想定される場合は、斜面にアンカー体を支持層まで挿入し、支圧板により脆弱な層を押さえつけ、すべり面上の摩擦力増大を図ることで崩壊を防止する工法が採用されます。
これらの設計の際は、各自治体の設計要領や「切土工・斜面安定工指針(日本道路協会発刊)」などがよく参考にされることが一般的です。
法面保護工法の今後
近年、異常気象によるゲリラ豪雨や線状降水帯の発生により、全国各地で斜面崩壊などの被害が発生しています。
これらに対応するため、法面保護工法も新しい材料を使用した工法などの開発が進められています。
土木技術者としても、最新の技術に留意し、変化に対応できるようにしておくことが必要となります。