ルーバーとは、羽板と呼ばれる一定幅の板を横向き又は縦向きに平行に並べて組んだものです。
この記事では、ルーバーの意味や目的、タイプ、建物への使われ方について解説します。
ルーバーの意味
ルーバー(louver)とは、元来「ヨーロッパ中世の住宅で、採光・排煙のための羽板状の格子を備えた小塔を指していた」とされていますが、今日では、「羽板と呼ばれる一定幅の板を横向き又は縦向きに平行に並べて組んだものの総称」となっています。
ルーバーは、羽板の取り付け角度や羽板同士の間隔によって、日照(光)、人の視線、通気、雨、埃などを遮断ないし適度に透過させるようコントロールすることができるので、建物の外壁を始め開口部などの日よけ、目隠し、雨除け、通気・換気などの目的で用いられています。
ルーバーには、その他デザインを目的として用いられる場合もあり、和風建築を始めとして様々な使われ方が見られます。
またルーバーは、目的によって様々なタイプと大きさで使われているとともに、材質も、使われる個所と条件によって、木、アルミニウム、ガラス、プラスチックなど色々な材質のものが作られています。
ルーバーの目的
ルーバーには、日照(光)、人の視線、空気などを遮蔽したり透過させたりする働きがありますが、用いられる具体的な目的には次のようなものがあげられます。
➀ 日照(光)を遮断又はその方向をコントロールすること
➁ 人の視線を遮断又はその方向をコントロールすること
③ 日照(光)や人の視線を遮断又はその方向をコントロールして、通気性を確保すること
④ 日照(光)は遮断せずに通気性をコントロールするもの
⑤ 人や動物の進入出を遮断すること
⑥ 雨水を避けて通気性を確保すること
⑦ 連続する羽板をデザインとして使用するもの
これらは、それぞれの目的に沿ったルーバーが使用される場合と、同時に複数の目的に沿ったルーバーが使用される場合とがあります。
ルーバーのタイプ
ルーバーには、作られる形式で見た場合次のようなタイプがあります。
➀ 羽板の向き方に関するタイプ
・一定の向きに固定されているもの
・可動式(手動又は動力式)で、向き方をコントロールできるもの
➁ 羽板の並べ方に関するタイプ
・横向きに並べるもの
・縦向きに並べるもの
ルーバーは、これらの羽板の向き方と並べ方の組み合わせから、目的に沿ったタイプのものが選択されます。
建物への使われ方
ルーバーの建物への主な使われ方の例を、設置される個所、主な目的、通常使われる羽板の向き方の形式で取り上げてみると次のとおりです。
➀ 外壁: 外観上のデザインや視線のコントロール 固定式
通気又は換気 固定式
➁ 外壁窓: 通気、換気、視線のコントロール 固定式又は可動式
③ 間仕切り壁: 通気、換気、視線のコントロール 固定式
④ 内部建具: 通気、換気、視線のコントロール 固定式
⑤ 照明器具: 照明光の方向のコントロール 固定式又は可動式
⑥ エアコンの前扉: 風向のコントロール 固定式又は可動式
⑦ 屋上又は外部の装置: 外観上のデザインや視線のコントロール 固定式
⑧ 柵、塀: 人などの進入防止や視線のコントロール 固定式
これらルーバーの使われ方において、外壁窓や内部建具で視線を遮断し通気性を確保するルーバー仕様のものはガラリ戸(又は鎧戸)と呼ばれ、また、主として通気性の確保を目的としたルーバー仕様のものはガラリと呼ばれます。
なお共通して、基本的に雨除けを兼ねるものは、すべての羽板を雨が内側に入らないような角度とし、かつ横向きに並べるタイプが使われます。