軸組図とは、伏図とは異なり構造体の柱や梁などを立面で示す形で作成される図面です。
この記事では、軸組図の意味や軸組図で示されるもの、見方、重要な点について解説します。
軸組図の意味
建物において、自立して、内・外部からの様々な力に対して壊れないように支える部分を構造体又は構造躯体といいます。
この構造体の設計で作成される主要な図面が伏図と軸組図です。
図の形式として、伏図は構造体の基礎、床、梁などをそれぞれ一つの平面で示す図面ですが、一方の軸組図は、伏図とは異なり構造体の柱や梁などを立面で示す形で作成されます。
具体的には、建物の横(X)方向及び縦(Y)方向における主要な柱列や壁などの中心線上にある構造体を、横から見た形でそれぞれの軸組図は作成されます。
なおこれらの中心線のことを「通り芯」といい、記号や番号が付されています。
このように、軸組図は建物における構造体を通り芯ごとに立面で示した図面であり、通常1/100の縮尺で作成されます。
軸組図は伏図とともに構造体の設計を立体的に理解し把握するために欠かせない図面です。
なお軸組図は、鉄筋コンクリート造、鉄骨造を含む大方の種類における建築構造体の設計で作成される図面です。
そこで以下に、最も身近で分かり易い、日本の伝統的な木造軸組み工法の軸組図を例にして解説します。
軸組図で示されるもの
木造軸組み工法の構造体で、軸組図に示される構造部材は一般に垂直材、横架材及び斜め材と呼ばれる三つの種類があり、種類別には次の部材があります。
- 垂直材:通し柱、管柱、間柱など
- 横架材:土台、胴差、梁、軒桁、棟木、母屋、窓台、窓まぐさなど
- 斜め材:筋かい、方杖
また軸組図には、構造部材である柱を土台や基礎に固定するホールダウン金物や、筋かいプレートなど接合部の強度を高めるための各種の金物類も示されます。
軸組図の見方
軸組図では、一般的に
- 通り芯間の長さ(スパン)
- 各階又は主要な横架材のGLからの高さ
- 垂直材、横架材及び斜め材の各々の位置と符合(構造材リストは別図で)
などを読みとり、その通り芯にある構造部材の配置と構成を知ることができます。
また、伏図の梁伏図や小屋伏図などと照合すると、軸組図に示される横架材と荷重を支える柱の意味を理解することができます。
さらに土台伏図や基礎伏図とも照合すると、1階の各々の柱からの荷重を土台や基礎がどのように受け止め支えているかを確認することができます。
軸組図の重要な点
軸組図の見方のうえでは次の点が重要となります。
- 軸組図に示される垂直材と横架材は、自重を含む鉛直な荷重に対して適正に配置されているか。
- 軸組図に示される斜め材は、両横方向からの揺れや圧力に対して有効に働くように配置されているか。
- 平行な位置関係にある他の軸組図や、直角に交わる関係にある他の軸組図においても、➀、②と同様に構造部材が適正に配置されているか。
なおこれらの点は、軸組図だけの理解にとどまらず、構造体の設計全体を理解し確認するうえで重要な視点になります。