膨張タンクとは、機器や配管を膨張圧力から守るためのタンクのこと。
この記事では、膨張タンクの意味や仕組み、施工上の注意点を解説します。
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膨張タンクとは
配管内の冷たい水を加熱した場合、配管内に熱によって膨張圧力が生じます。
圧力を吸収するための設備がない場合、配管や他の接続されている機器が膨張圧力によって破損してしまう可能性があります。
機器や配管を膨張圧力から守るためのタンクを膨張タンクと呼びます。
膨張タンクはプールや温泉などの温水暖房設備や給湯設備があるシステムに用いられます。
膨張タンクのしくみ
膨張タンクには「開放式膨張タンク」と「密閉式膨張タンク」の2種類があります。
開放式膨張タンクのしくみ
まず開放式膨張タンクのしくみを説明します。
開放式膨張タンクは膨張圧力が発生した場合に生じた圧力を大気に開放させます。
膨張水がタンク内に入った際に一定水位を越えるとオーバーフローから膨張水が排水されます。その際は高温水が排出されます。
開放式膨張タンクは膨張圧力を大気に開放させるため不純物がタンク内に入ってしまう可能性があります。
密閉式膨張タンクのしくみ
密閉式膨張タンクには「ダイヤフラム式」と「ブラダー式」の2種類があります。
どちらのタンクも大気に開放されておらず密閉状態です。
ダイヤフラム式の構造は内部にはかしめ輪、ダイヤフラム、水質、空気室があり空気室の中に空気が封入されています。
ブラダー式の内部構造はブラダー、水室、空気室があり空気室の中に空気が封入されています。
ブラダーとダイヤフラム共に合成樹脂製で出来ており膨張圧力が生じた際にブラダー・ダイヤフラムがふくらんだり、しぼんだりしながら内部の空気室の空気で膨張圧力を吸収していきます。
近年は密閉式膨張タンクが採用されるケースが多いです。メリットを以下に記載します
・大気に開放されておらず衛生的である。
・開放式膨張タンクだと膨張水が発生した際にオーバーフローから膨張水が流れて行くが、密閉式膨張タンクの場合膨張水を排出しないので水量が減った際の補給水量が少なく省エネである。
・膨張タンク内のガス封入量は調整出来るためメンテナンスもしやすい。
最大のメリットは衛生面が優れていることであると思います。
膨張タンクの施工上の注意点
膨張タンクの施工上の注意点について解説します。
①膨張管、安全管には弁類を用いない
膨張タンクは配管内の圧力を吸収する役割があり、膨張タンクに接続している膨張管の系統を万が一しめてしまっている場合、圧力の逃げ場がなく配管が破損する可能性があります。
弁類を用いてしまうとヒューマンエラーにてバルブをうっかりバルブを閉めてしまう事があるので弁類は設けないようにします。
②配管内の空気はすべて膨張タンクに集まるように勾配をつけて配管を行う
やむをえず空気だまりの出来る場合は手動または自動のエア抜き弁を設ける
③気温が0度以下になる地域では膨張タンクおよび膨張管には保温を行う
膨張タンク内部には水室がありますが0度以下の地域では膨張タンク内部が凍結しタンクが破損する可能性があるので保温を行います