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パラペットとは?
パラペットとは、建物の屋上や屋根、バルコニーの外周部の先端に設けられた低い立ち上がり部分の壁を言います。
「胸壁」や「手すり壁」とも呼ばれ、人や物の転落防止の手すりのような役割もあります。
屋根の形状や用途によって設置場所や高さが変わりますが、よく見られるのはビルの屋上や、傾斜の無い屋根、バルコニー等です。
パラペットの目的
パラペットの目的は大きく分けて2つあります。
1つ目は防水性です。
屋上や傾斜の無い陸屋根、バルコニーなどの平らな面に降った雨は排水ドレンから樋へ流れる仕組みです。
ここにパラペットを設けることで、屋根から壁へ直接流れ込む雨の量を減らすことができ、雨漏りを防ぎやすくなります。
もう1つは意匠面です。
スタイリッシュな印象のキューブ型の住宅等に良く見られます。
屋根面を見せたくない場合に、パラペットで傾斜面を隠すというデザイン的な意図があります。
住宅だけでなく、店舗やビルなどでも安全面・デザイン面でよく設置されています。
パラペットの高さと寸法
パラペットの高さに決まりはありませんが、防水としての役割を果たすために一般的には屋根天端から600mm以上の立ち上がりが必要です。
また、人の出入りする場所に設けて手すりとして利用する場合は、安全面を考慮してパラペット自体を1100mm以上にするか、手すりと合わせて1100mmは必要とされています。
パラペットのメリット
雨漏り防止
建物の構造上、屋根と外壁の接合部は入りやすくなってしまいます。
そこにパラペットを設置し、防水材による防水層を作り、雨水が直接外壁へ流れるのを防いでくれます。
特に傾斜のない陸屋根や屋上は、雨水が外壁やサッシに滞留することで、少しの隙間から室内に侵入することが考えられます。
屋根の形状は様々ですが、勾配の大きな屋根や切妻屋根などではなく、フラットな屋根を採用する場合はパラペットが必要となります。
外壁やサッシの劣化防止
陸屋根の場合、屋根に降った雨水は直接外壁に流れてしまうので、酸性の雨水が当たり続けることで外壁やサッシを傷めてしまいます。
パラペットを設置することで、雨水は直接外壁ではなく雨樋等を通って排水口に流れていくため、外壁やサッシの劣化を防ぐことができます。
外観のデザイン向上
シンプルでスタイリッシュなイメージの箱型住宅を建てたい場合、傾斜のある屋根を設けるよりも、パラペットの立ち上げによって屋根面を隠すことでよりすっきりとした印象になります。
パラペット自体の色味や、笠木の素材など、こだわった外観を楽しむこともできます。
また、店舗などの場合はパラペットがあることで屋上部分も見えなくなることから、生活感を無くしてくれます。看板や照明の設置もパラペットによって施工しやすくなります。
パラペットのデメリット
メンテナンスが必要
雨漏り防止のために取り付けるパラペットですが、パラペットは屋根部材の一部ではなく別工事で取り付けるものなので、パラペット自体に劣化が生じた場合、結果的に雨漏りの原因となることがあります。
パラペット内側の排水口の真下は室内なので、劣化して雨水が入り込んだ場合、直接雨漏りに繋がります。
特に注意が必要な場所は、パラペットと笠木とのつなぎ目、パラペット同士のつなぎ目、手すり等を設置する場合はそのビス穴、雨水が流れ着く排水口です。
笠木やビス等の金属部分がサビてきたり、劣化やドレンの詰まりによって生じたひび割れが雨漏りの原因を作ります。
陸屋根等に設置されているパラペットは、軒のある屋根に比べて外壁やサッシにかかる雨水の量も多く、外壁とサッシのつなぎ目が傷みやすいとされています。
このつなぎ目からも雨水は侵入することがあります。
パラペット自体だけでなく、ドレンやサッシなど、様々な箇所を定期的に劣化していないかチェックする必要があります。
専門業者に補修を依頼すると、点検・笠木の交換・塗装・コーキング・漏水箇所の補修等様々な費用が発生します。
日頃からメンテナンスを行い、漏水する前に対策をすることが大切です。
通気性の低下
外壁と屋根のつなぎ目をパラペットで塞ぐことによって雨漏りを防止できますが、一方で外壁の通気も防いでしまいます。
外壁通気の無くなった屋内は結露やカビが発生しやすくなるため、注意が必要です。
一般住宅で最も多い木造住宅は特に湿気に弱く、木材の劣化によって建物そのものの寿命も縮めてしまいます。
パラペット用の換気部材などを利用したり、定期的なメンテナンスで対策を取ることが必要です。
排水ドレンが詰まりやすい
雨水だけでなく汚れも一緒にドレンを通っていくため、外壁を綺麗に保つことができる一方でドレンが詰まりやすくなります。
ドレンが詰まることにより雨漏りの原因や、雨樋のサビの原因にも繋がるため、定期的に排水ドレンのお手入れが必要です。