土工事や鉄筋、型枠工事、コンクリート工事、タイル工事、各種仕上工事など、各工種を施工するにあたって、事前に作成する重要な書類が2つあります。
『施工計画書』と『施工要領書』です。
- 名前が似ていること
- 2つとも施工を始める前に作成する書類であること
から『施工計画書』と『施工要領書』を混同してしまうことがあります。
しかし、施工計画書と施工要領書にはもちろん目的と内容に明確な違いがあります。
施工計画書と施工要領書の違いのポイント
- 何を書くのか
- 誰が書くのか
- いつ書くのか
基本的なことですが、しっかり理解しておきましょう。
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施工計画書とは
『施工計画書』とは、公共建築工事標準仕様書の1.2.2に記載がされている内容によると
品質計画,一工程の施工の確認及び施工の具体的な計画を定めた工種別の施工計画書を,当該工事の施工に先立ち作成し,監督職員に提出する。
ただし,あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は,この限りでない。
施工計画書とは公共建築工事標準仕様書に示されている通り、品質計画に重きを置き、施工者=元請が各工種をどのように施工するのか(施工したいのか)をまとめたものです。
施工計画書に記載する内容は、以下の通りです。
- 工程表
- 品質管理計画書
- 施工要領書
- その他
また、施工計画書あくまでも施工する建築物の図面や仕様書に基づいて計画し、作成するものです。
つまり、どの工事に置いても共通して作成されたものではなく、対象工事について具体的に検討した上で作成しなければなりません。
例えばコンクリート工事であれば、工事によって配合や打設条件、プラントの場所などの条件が変わって来ます。
その現場のコンクリート工事に合った計画書を作成するようにします。
施工計画書はどの工種について作成する必要があるか?
もちろん全ての工種について作成するのがベターですが、監理者の指示に従いましょう。
仮設工事については、基本的に必要ないことが多いです。
工事や監理者によっては品質計画の必要のない足場や山留めなどの仮設工事についても、作成しなければならない場合もありますので良く確認しましょう。
施工計画書はいつまでに作成するのか?
最終期日はもちろんその工種の施工に入るまでですが、施工計画書は監理者、工事によっては施主に承認を得なければなりません。
つまり施工計画書は監理者に提出してから、チェック→修正という流れになりますので、その期間も見込むと、施工に入る3週間前には提出すると良いでしょう。
施工要領書とは
上記で述べたように、施工要領書は施工計画書に含まれる書類として扱われます。
内容としては、元請が作成した施工計画を実行するために、実際に施工する業者がどのようにして工事を進めて行くかを記入したものになります。
記載する内容としては以下の通りです。
- 使用材料
- 搬入出計画
- 施工手順
- 施工上の注意点
- 品質管理の方法
施工要領書は協力会社の立場で記載する書類であるという事がポイントです。
施工計画書と同様に、実際に施工する建築物の工事に対して具体的に検討する必要があります。
たしかにさまざまな現場でも共通する部分はありますが、どの工事でも共通して使い回しするものではありません。
よく他の現場のものを工事名だけ変えているような施工要領書を見かけますが、それは現場に則しているとは言えないのでNGです。
施工計画書のひな形
日建連のホームページで施工計画書の参考書式が公開されているので、参考にしてください。
あくまで参考書式なので、現場に則した形で編集して使用しましょう。
施工計画書と施工要領書の違い
- 施工計画書は「元請がどのように施工したいのか?」ということを計画する書類。
- 施工要領書は元請が作成した施工計画書を受けて、「実際に施工する業者がどのように施工していくのかを記載するもの」で、施工計画書の一部として扱われる。
間違っても、監理者に施工要領書をそのまま提出して
『この計画で施工します!』
なんて事になってはいけません。
元儲けとして、設計図どおり、仕様書どおりに施工するためにどのように計画するのかを示さなければなりません。
以上施工計画書と施工要領書の違いでした。