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鉄筋とは
配筋図を理解する上でまずは鉄筋についておさらいします。
鉄筋コンクリート
鉄筋コンクリートとは、構造物に必要な鉄筋を配置した後にコンクリートを打設して構築するものです。
鉄筋は引張に対する抵抗力が高く、コンクリートは圧縮に対する抵抗力が高いことが特徴です。
また鉄筋は水分で腐食しやすいなど耐久性が低く、コンクリートは水分に対して腐食しにくく耐久性が高いです。
両者の長所を上手く組み合わせて、安価で高強度の構造物を実現しております。
鉄筋とは
鉄筋は一般的には異形鉄筋のことを指します。
表面に凹凸が加工されており、コンクリートとの付着が確保されるようになっております。
鉄筋の形状はねじ節鉄筋、たけ節鉄筋とあり、鉄筋を製造する工場によって異なります。
鉄筋に使用する機械式継手は、鉄筋の形状に制限がある場合があるので注意が必要になります。
配筋図とは
配筋図は、鉄筋を図面上で線で表し、鉄筋の配筋(並べ方)を示した図面になります。
鉄筋の並べ方、鉄筋径と鉄筋の間隔を示しています。
慣れていない人にとっては網目状の模様が書いてある紙に見えるかもしれませんが、設計者の思いが詰まった図面になります。
以降は一般的な土木工事の図面で説明させていただきます。
配筋図の構成は、配筋展開図・配筋加工図・鉄筋数量表になります。
構造物の規模や特殊性によりますが、大体すべてで30枚程度になります。
配筋図の構成
構造図
配筋図の基準となるのは構造図になります。
構造の表面から被りを確保した形で配筋図を作成していくので、構造図に間違いが生じると大きな手戻りになります。
構造図で表現していない部分の鉄筋の情報を描くために、鉄筋構造図を追加する必要があります。
構造の展開の書き方などは、現場担当者や設計者とよく打ち合わせをして描くことをお勧めします。
配筋要領図
配筋要領図とは、配筋のルールが描かれている図になります。
鉄筋の種類は大きく主筋・配力筋・せん断補強筋です。各部材にそれぞれどの鉄筋径をどういう鉄筋間隔で配置すればよいか描かれております。
設計者が必要と判断した図なので、この図を遵守して配筋図を作成します。
しかし、特殊部や調整部分についてはルールを遵守できない場合があるので、設計者に相談しましょう。
配筋展開図
配筋展開図は、各部材の展開構造図に鉄筋を線で並べている図になります。
例えば頂版ですと、上筋の展開図・下筋の展開図があります。主筋が2段になっている場合は、さらに展開図を追加します。
主筋と配力筋はそれぞれの図に示しますが、せん断補強筋は各部材に1枚ずつに示されている図面を作成するのが一般的になります。
配筋加工図
配筋加工図は、1本1本の鉄筋をどのような形状で加工すべきかを示している図になります。
細かいルールを元に作成するものなので、緻密な作業になります。
加工形状は企業者等で異なる場合があるので、よく確認するようにしましょう。
鉄筋数量表
鉄筋数量表は、鉄筋加工図に示した鉄筋の重量を集計した表になります。
一般的にはエクセルで鉄筋重量表を作成した後に、CADでその表を作成します。鉄筋継手の種別や簡単な加工形状を摘要欄に記載します。
情報量が多く、間違いが生じやすい図面になりますので、よく確認するようにしましょう。
配筋図で使用する鉄筋部位の名称
主筋
主筋とは、構造物の主構造に必要な構造計算で決まっている鉄筋になります。
構造計算で算出された鉄筋の引張応力で決定しているので、鉄筋の中でも重要な鉄筋になります。
一般的には鉄筋間隔として100㎜,125㎜,150㎜となっており、主筋の間隔を広げることは基本的にできません。
したがって、函体幅が変化する場所など、主筋の間隔を調整する場合は慎重な判断が必要になります。
4.2 配力筋
配力筋とは、主筋の応力を一様に分配する働きをもつ鉄筋です。
一般的には主筋鉄筋量の1/6を配置します。
この鉄筋量は企業者毎に異なりますので、確認しましょう。
主筋よりも必要な鉄筋量が少ないので、主筋の2倍間隔で配置されることが多いです。
配力筋は主筋と比べて重要性が低いですが、その働きを十分に達成できるように配慮して配置する必要があります。
4.3 せん断補強筋
せん断補強筋とは、鉄筋コンクリートに発生するせん断力に対して補強する鉄筋になります。
部材に発生するせん断力をコンクリートのみで負担できるか確認し、必要な鉄筋量を算定してせん断補強筋を配置します。
一般的に部材端部から部材高さの1/2の位置で照査して、必要な配筋を決定します。
せん断補強筋の決定方法も企業者により異なるので、よく確認しましょう。
4.4 その他の鉄筋
上記の鉄筋以外にハンチ筋、隅角部補強筋などがあります。
ハンチ筋とは、構造物のハンチ部分に配置する隅角部の応力を円滑に伝えることを目的にしている鉄筋です。
隅角部補強筋は隅角部に発生する断面力に対して抵抗する隅角部に配置する鉄筋です。
複数の鉄筋が錯綜する部分は施工が困難となる場合があるので、施工者によく確認しましょう。
配筋図作成の注意点
配筋図作成の作業は膨大で、ちょっとした手戻りでも多くの時間と費用がかかります。
よくある修正を紹介しますので、配筋図作成前に確認することをお勧めします。
画層設定
配筋図をCADで作成する場合の画層(レイヤー)設定は、鉄筋の種類で分けたり、鉄筋径で分けたりと様々な分け方があります。
後から画層設定を変更するとなると、大変な作業になります。
予め画層名とその分け方について決める必要があります。
鉄筋番号
鉄筋を識別するために、鉄筋番号を用いて仕分けします。
例えば底版の主筋はS-〇という番号をつけたり、底版の配力筋はSH-〇という番号をつけたりします。
底版をFとつける場合もあるので、よく確認しましょう。
後からアルファベットをすべて打ち直すと大変な作業になります。
加工形状
鉄筋の加工形状は、設計指針に示されている形状が基本となります。
ただし、定着長の丸め方や曲げ半径の丸め方について企業者毎にルールがある場合があります。
数量算出要領をよく確認して、鉄筋加工図を作成するようにしましょう。
後から加工形状のルールを変えるとなると大変な作業になります。
作成手順を守る
配筋図の作成手順は、配筋要領図→構造図→配筋図の順番になります。
配筋図を作成している途中で、配筋要領図と構造図が変わってしまうと、大変な修正作業となります。
配筋図作成作業は時間がかかるので、少しでも早く作業を進めておきたいところですが、確実に作業を進めることをお勧めします。