出水期とは、一般的に梅雨や台風に伴う降雨により河川が増水しやすい時期のこと。
この記事では、出水期の意味や時期、注意点、河川工事との関係について解説します。
出水期とは
出水期とは、一般的に梅雨や台風に伴う降雨により河川が増水しやすい時期を指します。
地域によっては融雪期も出水期に含む場合があります。
なぜならば、融雪により河川が増水するからですね。
出水期ではない時期は、非出水期もしくは、渇水期と呼びます。
出水期の時期
以下に示す一例のように、出水期の期間は川ごとに設定されています。
荒川:6/1~10/31
淀川:6/16~10/15
信濃川:6/15~9/30(豪雪地帯を流れているが、融雪期は出水期に含まれていない例)
出水期の一覧表といった資料は、現状(2023年6月)では公表されていません。
そのため、出水期の正確な日付を知るためには、各河川管理事務所のHPや管理者に確認する必要があります。
水文データの参考例
河川には水位や流量、雨量を観測するための施設が設置されています。
国土交通省が管理する一級河川については、観測データが『水文水質データベース(国土交通省 水文水質データベース (river.go.jp))』に公開されています。
ここでは、荒川の熊谷観測所の2022年の水位観測データを整理してみました。
ご覧のとおり梅雨や台風の時期に水位が上昇していますね。
※荒川の標高はA.P.で表記されます
図1 荒川の熊谷観測所の水位データ(2022年)
出水期の注意点
出水期と非出水期は便宜的に人が定めたものです。
自然のことであるため、「非出水期にも増水は起こりえる」ことに留意する必要があります。
特に季節の変わり目は注意。
例えば、2023年5月に例年より早く台風が来襲し、西日本を中心に河川で増水が生じました。
特に兵庫県伊丹市を流れる天神川の堤防決壊は大きく報道されましたので、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか?
兵庫県阪神北県民局宝塚土木事務所HP:兵庫県/天神川堤防決壊における情報 (hyogo.lg.jp)
出水期の河川工事
出水期の河川工事は安全確保の観点から禁止されてきました。
しかし、施工時期の平準化や余裕を持った工期の確保を目的として、平成29年および平成30年に国土交通省主導で出水期に施工できる工種が緩和されています。
出典:国土交通省HP 001236074.pdf (mlit.go.jp)
緩和された工種は、「洪水が予測されたときに施工前の堤防形状に戻す等の措置ができること」および「作業員や資機材等の退避などの適切な防災措置を講じること」が前提であることに留意ください。
現状の気象予報精度では3、4日先の降雨でも正確に予測することが難しいので、河川流量・水位の予測も同じく正確性に欠けます。
日常生活でも、天気予報が外れた経験ありますよね?
そのため、緩和対象の工種として挙げられていても、注意が必要です。
機材の解体や退避に時間を要する工種については、出水期に実施するために詳細な施工計画・仮設計画が必要となることを忘れないでください。