通気管とは、配管内の空気圧を調整して、配管の流れをスムーズにするためのもの。
この記事では、通気管の役割、しくみ、種類、最小管径、施工上の注意点について解説します。
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通気管とは
通気管とは汚水(トイレの排水)や雑排水(お風呂や台所の排水)を流す配管に空気を送りこんで流れをスムーズにする為に設ける配管のこと。
通気管の役割
通気管の大きい役割は、配管内に空気を送り込むことで排水を流れやすくする事です。
便器の器具が多い場合通気管が設けられていないと排水量が多くなるので流れにくくなりトイレが必ず詰まります。
通気管のしくみ
通気管は汚水が流れている配管に空気を取り込む事を目的としているので外気を取り入れる為大気に開放されています。
汚水配管はトイレや風呂を使用し水を流した際に配管内が負圧(配管内が大気圧より低い状態)や正圧(配管内が大気圧より高い状態)になります。
大気圧より変動した際に通気管から空気を取り入れたり、空気を逃がしてあげることで配管内の排水をスムーズにします。
通気管の種類
新築現場において最も使用が多い通気管はループ通気管と伸頂通気管です。
ループ通気管
排水横枝管の最上流の器具(水上)と次の器具(1段水下)との間に接続される通気管。通気管の種類としては施工頻度が多いです。
伸頂通気管
排水立て管と呼ばれるメイン配管をそのままのばして大気に開放する通気管です。通気管の種類としての施工頻度は多いです。
結合通気管
床からその階数の排水横枝管(メイン配管)が2.5m以上がある場合ブランチ間隔と呼びます。
結合通気管は、ブランチ間隔を10以上持つ排水の立て管には最上階から数えてブランチ間隔が10ごとに設ける通気管です。
高層ビルなどの地上からの高さが高い建物の施工時に使用する通気方法です。
各個通気管
手洗い器や便器などの衛生器具ごとに設ける通気管。コストがかかるのであまり採用されません。
通気管の最小管径
通気管の最小管径は通気管の種類によって異なります
- ループ通気管:排水横枝管と通気立て管のうち、いずれか小さい方の管径の1/2以上
- 伸頂通気管:原則として排水立て管の上端管径をそのまま延長する
- 結合通気管:通気立て管と排水立て管のいずれか小さい方の管径以上
- 各個通気管:接続される排水管径の1/2以上とし最小関係は30㎜
- 排水層の通気管:最小管径50㎜
通気管の位置
通気管の大気開放の位置は原則窓から水平距離で3m以上。窓の上部から1m以上とします。
汚水配管と接続されていて汚水の匂いが通気管を通じて大気に発生するので人の出入りがない場所や窓から離れている箇所に設置するようにしましょう。
通気管の設置基準
通気管の設置基準としては明確にはありませんが、原則汚水配管(トイレの排水)雑排水(台所、風呂の排水)には通気を設けるようにしましょう。
通気管は原則施工しないとトラブルになる事は間違いありません。
汚水が流れにくくなる事は間違いないので後々配管のやり替え、手直しをするようになるので通気管は必ず施工しましょう
施工のポイント
通気管の施工のポイントは大きく3点あります
- 排水横枝管から通気管を接続する際は排水管断面から45度以上の角度で取り出す
真横から接続すると通気管内に汚水が流れてしまい空気を取り入れることが出来なくなってしまいます
- ループ通気管を使用する際は通気立て管と接続する
通気立て管が最終的に大気に開放されますが最上流の便器から立ち上げたループ通気管は通気立て管に接続します
- 気の横走り配管はその階の一番高い器具のあふれ縁から150㎜以上立ち上げて通気立て管に向かって接続する
通気横走り管を器具のあふれ縁より高い位置で接続すると万が一通気が詰まってしまっても器具のあふれ縁から詰まった汚物がでてくることで通気が詰まっている事が早期に判断できます。