『カチオン』という言葉の付く材料についてみなさんはご存知でしょうか?
建設現場では左官材料や防水剤として使用される建材の一つです。
特徴として強い密着性が挙げられるカチオン系の材料ですが、
「なぜ強い密着性が得られるのか?」
その正体を調べてみました。
カチオンとは?
『カチオン』とは+(プラス)電荷を持った陽イオンという意味で、反対にー(マイナス)電荷を持った陰イオンは『アニオン』と呼ばれます。
「下がる」 を意味するギリシア語 katienai をとってカチオン (cation)、後者が 「上がる」 を意味するギリシア語 anienai をとってアニオン (anion) と命名されたようです。
参照:https://www.google.co.jp/amp/chemistry4410.seesaa.net/article/278766783.html%3famp=1
カチオンシャンプーとノンカチオンシャンプー
身近なところでいうと、シャンプーにもカチオンが含まれています。
カチオンはプラス(+)の電荷を持っていると書きましたが、濡れた髪の毛はマイナス(ー)を持っており、髪の毛に良く吸着します。
カチオンの効果としては、髪は濡れた状態だとマイナスに帯電しているので、カチオン界面活性剤は髪に吸着しやすい性質を持っています。
その効果は、静電気の防止、指通りの改善、髪を柔らかくする、殺菌効果などがあります。
このようなメリットがある一方カチオンは強力な殺菌効果があるので、ノンカチオンシャンプーというカチオンが入っていないシャンプーが
最近出てきています。
カチオンを用いた建築材料
建築材料としては、左官材料として『カチオン系』の材料が使われることがあります。
現場で使用された事がある方はご存知の通り『強い密着性』のある材料です。
カチオンが強い密着性を得られる理由とは?
なぜ『強い密着性』を得られるかというと、上記のカチオンの性質を利用しているからのようです。
下地となるコンクリートやモルタルは、負(-)の電気(アニオン)を帯びており、
材料自体に正(+)の電気(カチオン)の特性を持たせる事で、磁石がプラス(+)とマイナス(-)で引き合うように、カチオン性の材料と、コンクリートやモルタルは、プラスとマイナスで引き合い、より強い密着性が得られることになるようです。
陽イオンと陰イオンが電子的に引っ張り合う、異性化の力を利用して、接着力を増したものが、カチオン系(カチオン性)の材料ということです。
カチオンの使用箇所は?
鉄・タイル・ガラス・塗料・モルタル・コンクリート・ALCなど数々の下地に
使用する事ができ、強い密着性を発揮します。
剥がれやすい部分や、薄塗りになる部分にも使用する事がありますね。
カチオンは鉄部にも使えるの?
カチオン系の材料は鉄部にも使えます。
しかし、製品によっては下地として適していないものもあるようなので、使用する製品の説明をよく確認するようにしましょう。
また、錆止め塗装などは除去しなければ付着に影響が出てしまうようです。
カチオン製品一覧
カチオンタイト
カチオンタイト(建築仕上材のヤブ原産業株式会社)有名なカチオン系の製品です。
種類としては、
・カチオンタイトF
・カチオンタイトFS
・カチオンタイトT
・カチオンタイトTS
があります。
塗布手段 | 耐溶剤性 | |
---|---|---|
カチオンタイトF | コテ | ー |
カチオンタイトFS | コテ | ○ |
カチオンタイトT | ローラー | ー |
カチオンタイトTS | ローラー | ○ |
上記のように、塗布手段と耐溶剤性により分類されます。
カチオンと下地の相性
カチオンは下地によって付着強度が変わります。
商品によっても様々だと思いますが、カチオンタイトの下地による付着強度をみてみると、
接着強度(N/㎟)
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大理石 2.0
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コンクリート1.9
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陶磁器タイル1.9
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ガラスブロック1.9
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エポキシ樹脂塗床仕上げ1.9
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スレート1.8
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Pタイル接着剤1.7
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鉄部1.6
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押出セメント成形板1.5
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ウレタン系トップ仕上げ1.5
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アクリル系トップ仕上げ1.4
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合板1.0
下地によって、付着強度が変わってきますが、コンクリートやタイルと相性が良さそうです。
付着強度とは?
上記の付着強度ですが、単位がN/㎟となっていますね。
どのくらいの強度があるかと言うと、コンクリートの1.9N/㎟であると、
例えば1cm四方(100㎟)にカチオンタイトをに塗りつけたとすると、190N≒19kgの力に耐える事が出来ると言うことになります。
※1kg重=1kg×9.8m/sec2(重力加速度)=9.8N
※1N=(1/9.8)kg重≒0.1kg重