一級管工事施工管理技士 資格

【排水トラップの封水切れ】原因と対策まとめ

2020年3月10日

排水トラップとは、下水道や排水管からあがってくる

  • 臭気
  • 害虫
  • ガス

などが侵入してくるのを防止する機能を持つ装置のことです。

阻集器とは、トラップの役割のほかに、

  • 生ごみ
  • 油脂
  • 髪の毛
  • 石膏や金属

など排水中の浮遊物を除去できる機能を備えた器具です。

トラップは、配水管からの臭気や害虫などの侵入を防ぐとても重要な役割を持ちますが、普段人の目に付かないところにあります。

しかし、

トラップに不具合が起こると我々の生活に大きな影響を与えてしまいます。

そこで、

今回は『排水トラップの不具合の一つである封水切れ』についてその原因と対策について説明したいと思います。

封水切れの原因と防止対策

トラップの封水が切れて、空気が流通する現象を『破封』といいます。

・自己サイホン作用
排水トラップ 封水切れ
器具からの排水によって、トラップおよびトラップ以降の配水管がサイホンを形成し、トラップ内の封水を吸引してトラップの機能を失うことです。

例えば、

洗面器のように水を溜めて使用する器具で、溜めた水を一度に多量に
排水すると、トラップと排水管がサイホン管を形成して、サイホン作用によりトラップ部分の
水が残らず吸引されてしまいます。

<自己サイホン作用の防止方法>
・器具排水口からトラップウェアまでに垂直距離を600㎜以下とする
トラップ 種類 注意点

・各個通気方式(各器具のトラップごとに通気管を設ける方式)は自己サイホン作用の防止に有効
トラップ種類 注意点

※各個通気方式は各器具のトラップごとに通気管を設ける方式で、トラップ下流の器具配水管から取り出し、その器具よりも情報で通気系統へ接続するか、又は大気に開口する通気管を言う。

・誘導サイホン作用(吸出し作用)
立て管に近い箇所にトラップを設けた場合、排水立て管内を落下してくる排水によって、立て管と横管との接続部付近の圧力は、大気圧より低くなります。

そして、

トラップ側に大気圧が働いており、圧力の低くなった排水立て管内にトラップの水が吸い込まれてしまう現象のことです。

<誘導サイホン作用の防止方法>
トラップの封水深は50㎜以上、100㎜以下とし、誘導サイホン作用の圧力に対抗でき、封水を失いにくい構造とする。

・はね出し作用
排水トラップ 封水切れ

立て管の上方より落下してくる排水がピストン作用を起こして管内の空気を圧縮して圧力が高くなり、立て管近くにあるトラップ内の水を衛生器具の外にはね出してしまう現象です。

例えば、上記の図のように、器具Aより多量の水が排水され、b部が瞬間的に満水になった状
態で接続している立て管c部に多量の水が流下してくると、d部の圧力が急激に上昇し
てe部の封水がはね出してしまいます。

<はね出し作用の防止方法>
誘導サイホン作用の防止と同じく、規定の封水深を確保するようにします。

・毛管現象
トラップ内に髪の毛や糸くず、布切れがあると、それらを伝って、トラップの水を徐々に吸い上げてしまう現象です

<毛管現象の防止方法>
原因は、トラップ内に溜まった髪の毛や糸くずなので、定期的に清掃することで防止することができます。
清掃方法としては、市販の専用清掃用具および市販の薬品等によって溶かし出す方法があります。

・蒸発
長期間しようしないことによりトラップ内の水が蒸発して失われてしまう現象です。
排水器具を長時間使用しない場合や冬季に暖房を使用する場合に発生しやすく、床排水トラップにも発生しやすいです。

<蒸発の防止方法>
定期的に器具を使用し、排水を行うことや封水の蒸発防止剤(封水の水面に薄い皮膜を形成し封水の蒸発を防止する薬剤)を使用することです。

トラップの種類と部位の説明

トラップの種類

サイホン式は自浄作用があるが、水封が破られやすい。

トラップの種類

トラップの種類

・Pトラップ
自己サイホン作用を起こしにくく、一般的に用いられ封水が最も安定しています。

・Sトラップ
自己サイホン作用を起こしやすいです。

・Uトラップ
主に横走り菅の途中に用いられます。沈殿物が溜まりやすく、配管内の流速を阻害する欠点があります。

・わんトラップ
人為的なミスにより、上部のわんが取り外されるとトラップの機能が失われる

・ドラムトラップ
サイホン式トラップに比べて脚断面積比が大きいので水封が安定しています。

ウェア』と『ディップ』の距離を『封水深』という。

トラップの封水深は50㎜以上、100㎜以下とするが、特殊用途の場合100㎜を超えるものもある。

SトラップとPトラップの違い

SトラップとPトラップともにサイホン式と呼ばれるトラップですが、その違いは形状と排水先がどこにあるかという点が違います

  • Sトラップ→S字型のトラップで、床排水となります

  • Pトラッ→はP字型のトラップで、壁排水となります

また、Pトラップは自己サイホン作用を起こしにくいが、Sトラップは自己サイホン作用を起こしやすいという特徴もあります。

二重トラップとは?

器具1個について2個のトラップを設けることを二重トラップといいます。

二重トラップは排水の流れを阻害し、破封の原因となるので絶対に設けてはいけません。

阻集器の種類

阻集器は、トラップの役割のほかに、排水中の浮遊物を除去できる機能を備えた器具です。

グリース阻集器 グリーストラップ

ヘアトラップ ヘア阻集器

・グリース阻集器
排水中に含まれている油脂類を阻集器の中で分離させて除去し、管が詰まるのを防止する。
第1槽で残飯や生ごみを取り除く
第2槽で水と油分を分離
第3槽でさらに細かく水と油分を分離し、水を下水道へ

・オイル阻集器
ガソリン等の流出する箇所の近くに設け、ガソリンなどを阻集器の水面に浮かべて回収し、それらが配水管中に流入して爆発事故を起こすのを防止する

・毛髪用阻集器
ヘアトラップとも呼ばれ、下水道に流れ込む前の汚水から毛髪・油分などを除去する役割を持つ。主に浴場、プール、美容院に設置される。

・プラスター阻集器
プラスターとは石膏のことで、病院や歯科、美術室等に設置され、石膏や金属の欠けらを除去する目的がある。

阻集器にはトラップ機能を持つものが多いので、器具トラップを設けると二重トラップとなる可能性がある。

流し台に排水トラップが付いている場合はトラップ桝を設置せず、直接排水桝に配水管を接続する。

グリーストラップの掃除をおこたると,悪臭が発生し,ゴキブリなど害虫の発生場所になってしまい,大変不衛生になります。

特に,ラーメン店や焼肉店など油脂分を多く使うお店では重要です。グリーストラップから油脂分が流出し,下水道本管や取付管を閉塞させる事例があります。

日本阻集器工業会では,グリーストラップの掃除について,次のように指導しています。
1.バスケットの掃除は毎日1回
2.グリース(油)の掃除は1週間に1回(多い場合は毎日)
3.ゴミ・残渣の掃除は1カ月に1回
4.トラップ内部の掃除は2~3カ月に1回

トラップと阻集器 1級管工事の過去問事例

1.自己サイホン作用の防止には、脚断面積比の小さなトラップの方が大きなトラップに比べて有効である

脚断面積比(流出脚断面積 / 流入脚断面積)が大きいほど、封水強度は大きい。

2.工場製造のグリース阻集器は、許容流量及び標準阻集グリース量を確認した上で選定する

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