用語の解説 設計図

建築物の延べ面積とは?床面積と延べ面積の違い、計算方法についても解説

2022年1月26日

延べ面積とは単純に言えば建築物の各階の床面積の合計です。

こう聞くと簡単そうに見えますが、単純な床面積の合計とは異なります。

この記事では延べ面積の意味、床面積との違い、延べ面積の計算方法を詳しく解説していきます。

建築でよく聞く延べ面積とは?

まずは延べ面積とはどういうものか。

延べ面積の意味にについて解説します。

延べ面積の意味

建物の各階の面積をすべて足した面積のことをいいます。

延べ面積は建物の広さを知るのに有効で、建物を建てる際に必要な材料や工賃の金額を計算したり、工事に着手する際に必要な申請に使われることが多いです。

延べ面積とは各階の床面積の合計

各階の床面積をすべて合計すると延べ面積となります。

たとえば2階建ての建物で1階の床面積が50㎡、2階の床面積が40㎡だとするとその建物の延べ面積は90㎡です。

延べ面積の計算方法

延べ面積は、単純に床面積を合計するだけではありません。

少し複雑な延べ面積の計算方法について解説します。

各階の床面積を計算し、最後に合計して延べ床面積を出す

ここで具体的に延べ面積の計算方法を確認してみましょう。

例として、間口5m奥行10mの2階建ての建物があったとします。

2階はバルコニーがあり室内の大きさは間口5m奥行9mとします。

その建物の床面積は、1階部分が5X10=50㎡、2階部分が5X9=45㎡です。そして延べ面積はそれらの合計ですので50+45=95㎡となります。

 

床面積に含まれない部分

一見簡単そうに思える延べ面積の算出方法ですが、延べ面積に含まないという例外が建築基準法で細かく決められています

あくまでも一例としていくつか簡単に紹介します。

 

【ピロティ】

2階以上の建物で、地上部分が柱を残して外部空間と一体になった部分をいいます。

「十分に外気に開放されかつ屋内的用途には使わない」のを前提に床面積に算入しません。

屋内的用途とは、生活や作業・集会などを行ったり物品の陳列や保管など、何かしら留まる用途を持たせる意味です。

つまりピロティは常時、人の通行が可能でなければなりません。

 

【ポーチ】

建物への出入りのための通行専用を目的とした場所ですので、原則として床面積に算入しません。

ただしこちらも屋内的用途で使わないのが前提です。自転車・自動車車庫という用途を持たせてしまうと床面積に含まれますので注意が必要です。

 

【吹きさらしの廊下・バルコニー・ベランダ】

吹きさらしの廊下とは主に共同住宅の廊下を指します。

外気に有効的に開放されている部分が1.1m以上、かつ天井の高さの1/2以上であれば、手すりの中心から内側幅2mまでの部分は床面積に算入しません。

 

【屋外階段】

外気に開放されている部分の長さが当該階段の周長の1/2以上、高さが1.1m以上、天井の高さの1/2以上であれば床面積に算入しません。

 

【出窓】

出窓の下端が室内の床から高さ30cm以上であり、外壁面から水平距離に50cm以上突き出ていないこと。

また、窓の面積が出窓の壁の面積の1/2以上であること。これらすべて満たしていれば床面積に算入しません。

 

【小屋裏・天井裏】

小屋裏・天井裏とは、天井と屋根の間、下の階と上の階の間のことで一般的にロフトや小屋裏物置と呼ばれるものです。

天井の高さが1.4m以下であり、かつ床面積がそこに存ずる階の床面積の1/2以下であれば床面積に算入しません。

ただし、あくまでもこの空間の用途は物入れに限定されていますので、寝室や書斎など人が居住するという趣旨で設計してしまうと床面積に含むことになります。

 

他にも容積率を算定する際にだけ使われる延べ面積もあります

自動車・自転車車庫や住宅の地階部分などは全てが床面積に含まれるわけではなく、定められた限度まで減らして算出し容積率を緩和できます。

 

まとめ

建物の広さを表す延べ面積ですが、純粋に床の面積だけではないとお判り頂けたと思います。

間取りやその空間の広さ、用途によっても床面積は変化します。

建築士でも判断しづらい微妙な案件があれば、公的機関へ相談に行くことも少なくありません。

直接お金に関わることが多い延べ面積だからこそ、基本的な知識だけでも頭に入れておくといざという時に役に立つと思います。

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