『ゼネコン』と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。
最近はニュースやCMに出ていることもあり、一般の方にも認知されることが多くなっていると思いますし、
建築や土木関係の学科に通う学生は就職の選択肢の一つです。もちろん建築や土木以外の学生の方も目にする機会はあると思います。
初めて聞いた方は『ゼネコンって何?』と疑問に思う方もいるでしょう。
この記事では、
・ゼネコンって何?
・ゼネコンってどんなことをしているの?
という疑問をゼネコンで10年以上働くゼネコンマンが解決したいと思います。
タップできる目次
- 1 ゼネコンとはどういう意味?
- 2 ゼネコンの定義とは?
- 3 請負うとは?
- 4 ゼネコンが総合的に管理するとは?
- 5 ゼネコンの部署とは?
- 6 スーパーゼネコンとは
- 7 準大手・中堅ゼネコンとは
- 8 ゼネコンが建てる建物とは?
- 9 ゼネコンの勤務時間とは
- 10 ゼネコンの残業は多い?
- 11 ゼネコンの朝は早い?
- 12 ゼネコンの休日とは
- 13 ゼネコンに必要な資格とは?
- 14 ゼネコンで働く人の出会いや結婚とは?
- 15 ゼネコンの年収とは
- 16 ゼネコンで働く人の服装とは?
- 17 ゼネコンの作業着とは?
- 18 ゼネコンの海外進出とは?
- 19 ゼネコンによくある誤解とは
- 20 ゼネコンのキャッチコピーとは?
- 21 建設業の動向まとめ
- 22 海外建設市場の動向
- 23 建設業業者の動向
- 24 ゼネコンとは「総合建設請負業者」未来を創る企業です
ゼネコンとはどういう意味?
ゼネコンとは日本語で、『総合請負建設業者』の事を指します。
みなさんの中にも「大成建設」「大林組」「清水建設」「鹿島建設」「竹中工務店」という会社を聞いたことがある方もいると思います。
これらの会社はいわゆる「ゼネコン」と呼ばれる建設会社です。
(※これらの会社はゼネコンのなかの一部です。まだまだ他の会社もたくさんありますが後ほど解説します。)
ゼネコンとは何の略かというと、英語がもとになった言葉です。
ゼネコンとは英語でGeneral Contractorの略称で直訳すると総合建設請負業者となります。
その名の通りゼネコンとは、建設業を一式で請負い、元請けとして工事を総合的に管理することを仕事とします。
>>ゼネコンとは英語で何というの?
も参考にしてみて下さい。
ゼネコンの定義とは?
ゼネコンの定義には明確なものはありませんが、建設業許可のうち
特定建設業許可を受けた業者をゼネコンと総称しています。
建設工事をしようとする会社には、建設業許可というものが必要となります。
そして、建設業許可のなかには一般建設業許可および特定建設業許可の2種類があります。
請負うとは?
ゼネコンは、「建設業を一式で請負い、元請けとして工事を総合的に管理する」ことを仕事とすると説明しましたが、
請負うとはどういうことなのでしょうか。
請負とは辞書によると、
- 依頼人と日限・報酬等を定めて仕事を引き受けること。
- 当事者の一方(請負人)がその仕事を完成することを約し,相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約する契約。
となっております。
例えば、下記のように事務所や店舗やマンションなどの建物を建てたいと思っている人がいた場合に
- いつまでに建てたいか
- 予算はいくらか
- どんな建物にしたいか
などを検討したものをゼネコンが請負い、完成を約束して契約するということになります。
つまり、依頼人(発注者)がいない事には成り立たない事になります。
これがゼネコンのとても大きな特徴です。
例えば自動車のように、工場で生産し、できたものを販売するのではなく、お客さんからの受注が先で、受注したものを
いわゆる『一品受注生産』というものです。
ゼネコンが総合的に管理するとは?
ゼネコンは元請けという立場になるため、実際に建物を作っていくのは、下請けの様々な会社と職人さんたちになります。
建設業は多くの工種において分業化されており、一つの建物を建物を建てるためにとても多くの会社が関わってくることになります。
建設業界は以下のように様々な工事に分業化されているのが実態です。
このように多くある下請けの会社をまとめて一つの建物をつくるために、工程や安全、品質やコストを管理していくことが総合的に管理していくということになります。
ゼネコンが管理するものとは何かということでよく言われるのが、QCDSEです。
QCDSEは何かというと。
・Q 品質 (Quality)
・C コスト(Cost)
・D 工期 (Date)
・S 安全 (Safety)
・E 環境 (Environment)
ゼネコンの部署とは?
部署は会社や規模によって様々だと思いますが、基本的には大きく分けて
『施工』『設計』『管理』『営業』『研究』
の部署に分かれます。
施工とは?
『施工』は、いわゆる現場監督や現場所長などが属しており、現場に立ち、
現場を管理運営していく部署になります。
設計とは?
『設計』は、文字通り設計をする部署で意匠・構造・設備設計を施工とともにゼネコン1社で請負うことで、
設計と施工でうまく連携して現場を進めることができるというメリットがあります。
管理とは?
『管理』は、どこの会社にある経理や総務人事といった管理のほか、現場事務といって現場運営における事務的な管理の役割を
もつ部署もあります。そのほかにも、受注業務や見積もり業務などの部署も存在します。
営業とは?
『営業』は、文字通りですが、ゼネコンにも存在します。発注者とのやりとりや、建物を建てようと計画している顧客に対して
他部門と協力して、プロジェクトを進めていきます。
研究とは?
『研究』、建設業界も日々新しい技術とともに進化しており、それらの技術を生み出しているのがこの部門ということになります。
大手ゼネコンは研究施設を保有しており、そこで実験や技術開発を行っております。
ゼネコンの内勤・外勤とは?
ゼネコンでは各部署を内勤・外勤と呼ぶことがあります。
外勤は主に現場、内勤は主に支店や本社などのオフィスで働く人のことをいいます。
スーパーゼネコンとは
スーパーゼネコンとは、『大林組』『鹿島建設』『清水建設』『大成建設』『竹中工務店』のことをいいます。
ゼネコンの中でも歴史があり、特に売り上げや規模が大きい5社をスーパーゼネコンと呼んでいます。
スーパーゼネコンと呼ばれる由来はについては、その他大手ゼネコンと比べても飛びぬけて売り上げや
規模が大きくなっていることからスーパーゼネコンと呼ばれています。
準大手・中堅ゼネコンとは
準大手ゼネコン・中堅ゼネコンと呼ばれる定義に明確なものは無さそうですが、
一般的には、売上金額によって分類されているようです。
『準大手ゼネコン』売り上げが3000億円を超えるゼネコン
『中堅ゼネコン』り上げが1000億円を超えるゼネコン
ゼネコンが建てる建物とは?
ゼネコンが建設する建物の種類、用途は様々です。
例えば、
・マンション ・オフィス
・工場 ・病院
・美術館 ・球場
・映画館 ・劇場
・商業施設 ・学校
このように、様々な建物を建てますが、1戸建ての家などを建てることはほとんどありません。
1戸建ての住宅はハウスメーカーや工務店が建設することがほとんどです。
また、その他にも皆さんが目にする超高層ビルは全てゼネコンが建設しています。
>>ゼネコンが建設した超高層ビルトップ100 超高層ビルに強いゼネコンランキング
の記事も参考にしてみて下さい。
ゼネコンの勤務時間とは
ゼネコンの勤務時間は、基本的に他の会社や業界と変わらないですが、現場で働く人は少し違います。
現場の人は朝は早く、残業が多いというのが現状です。
ゼネコンの残業は多い?
ゼネコンは残業が多いと言われていますが、その実態は部署によって大きく異なります。
特に現場で働く人は残業が多く、夜遅くまで働くことがが多いのは事実です。
>>気になる?ゼネコンの残業時間が多い理由の記事を参考にしてみて下さい。
ゼネコンの朝は早い?
次に、朝の通勤時間、始業時間についてです。
朝の始業時間については、部署によって変わりますが、現場は朝礼があるため他の業界や会社と比べると朝も比較的に早くなります。
朝礼は基本的に8時からですが、準備等もあるためさらに早く出社する必要があります。
ゼネコンの休日とは
次に休日についてです。
会社としては、土日祝日は休みとなっていることが多いと思います。
しかし、現場は土曜日作業があることがほとんどで、現場が忙しいと日曜日や祝日も作業があります。
また、年末年始やお盆については積極的に作業をするといことはありませんが、現場によっては作業を行う場合があります。
現在は、建設業でも働き方改革が進んできているのでまだまだ実感はありませんが、今後は休日も多くなるかもしれません。
参考記事
>>【ゼネコン社員の休みは?】土日祝・年末年始・お盆について
ゼネコンに必要な資格とは?
ゼネコンで働くのに必要な資格は現場施工部門や管理部門、設計部門等で大きく変わります。
現場施工部門では、
・一級建築士
・一級建築施工管理技士
・技術士
・一級管工事施工管理技士
・一級電気工事施工管理技士
・コンクリート主任技師>
などがメインです。
以下の記事も参考にしてみてください。
また資格の取得に興味のある方はこちらも参考になります。
>>一級建築士製図試験はフリーハンドでも受かるけど、おすすめしない簡単な理由
>>一級建築士計画の要点記述のコツ【わかりやすい3段階レベルアップ方法】
ゼネコンで働く人の出会いや結婚とは?
ゼネコンで働くと出会いがない、結婚が遅くなると聞くことがあります。
これは半分正解で半分間違いです。
早い人はものすごく早く、遅い人は出会いはあるけどものすごく遅いといのが私の実感です。
参考記事
>>ゼネコンマンは出会いがない【ゼネコンマンの出会いと結婚】
ゼネコンの年収とは
ゼネコンは比較的年収が高いと言われます。
しかし、ゼネコンの年収が高いのには秘密があります。
それはなんといっても残業が多いことです。
他の業界と比べても残業がとても多いためそれに比例して年収も高くなるというわけです。
参考記事はコレ
>>ゼネコンの年収が高い本当の理由【ゼネコン年収ランキングベスト39】
ゼネコンで働く人の服装とは?
ゼネコンで働く人は全員が全員作業着というわけではありません。
スーツの人もいれば作業着の人もいます。また、その中間でYシャツに作業着といパターンもあります。
基本的には部署によって働く時の服装は変わります。
>>【ゼネコン社員の服装】Yシャツに作業着はあり得る?も参考にしてみてください。
ゼネコンの作業着とは?
ゼネコンの作業着は会社によって色やデザインが違います。
ゼネコンの入社すれば作業着は基本的に会社支給なので選ぶことはできませんが、
作業着は会社を表すともいえます。
参考記事
>>ゼネコン作業着の一覧【ビームスがユニフォームをデザインする時代】
ゼネコンの海外進出とは?
全てではありませんが、大手ゼネコンの多くは現在積極的に海外に進出しています。
その理由としては、
・国内の建設市場がバブル期から縮小している
・製造業等の日本企業の海外進出の流れ
・日本のゼネコンの技術力に需要がある
これらが挙げられます。
どれではゼネコンの中でもどのような企業が、海外に進出しているのでしょうか。
>>ゼネコン海外ランキング【海外に強いゼネコンとは?】を参考にしてみてください。
ゼネコンの海外赴任とは?
ゼネコンは海外に積極的に進出しているという説明をしましたが、
そうなるとゼネコンの社員も海外赴任する可能性があるといことになります。
製造業や商社と比べるとその人数はまだまだ少ないですが、今後は増えてくる可能性もあると思います。
>>ゼネコン海外勤務が多い会社はどこ?の記事を参考にしてみてください。
また、ゼネコンの海外赴任に興味がある、海外で活躍したいという方は、
>>【建築英語の本】海外赴任を目指すべきゼネコン建築系の人が買うべき本3選
の記事も参考にしてみて下さい。
ゼネコンによくある誤解とは
- ○○組の由来
建設会社でよくある○○組という名前は、建設業の始まりと言える1棟梁の大工の集まりを○○組と呼んでいたことから
由来されているようです。暴力団にも○○組という名前がありますが、これは取締から逃れるために、建築請負業の
看板を利用したためらしいです。ゼネコンと暴力団についてはそれ以上の関係は無いようです。
- 鹿島建設
読み方は『カジマケンセツ』であり。『カシマ』ではありません。もちろん鹿島アントラーズとも関係はありません。
- 作業着の下にスーツのイメージ
誤解というわけではありませんが、作業着の下にスーツを着ているのが、デフォルトなイメージがありますが、全員がそういうわけではなく
作業着の下は作業着のシャツを着ていることが多いと思います。
- 現場監督は入社したときから現場監督
現場監督という名称が正しいかどうかということはありますが、いわゆる施工管理の部門では入社したときから
世間一般に現場監督と言われている仕事をしています。『監督』という名がついているからといって、すごいわけではないし、えらいわけでもありません。
ゼネコンのキャッチコピーとは?
ゼネコンのキャッチコピーをみなさんもいくつか聞いたことがるでしょうか。
スーパーゼネコンのキャッチコピーがこちらです。
「人がいきいきとする環境を創造する」大成建設
「100年をつくる会社」鹿島建設
「子どもたちに誇れるしごとを」清水建設
「想いをかたちに 未来へつなぐ」竹中工務店
「時をつくる こころを創る」大林組
どれも魅力的なものが多いですが、「創る」や「未来」に関連する言葉を使っていることが多いです。
ゼネコンは建設業ですので建物を創り未来につないでいくという意味で共通するところがあります。
>>ゼネコンキャッチコピーまとめ18選【魅力的なものはどれ?】という記事にまとめたので気になる方は読んでみて下さい。
建設業の動向まとめ
国内建設市場の動向
落ち込んだ。その後は増加に転じ、2020~2030年までは、急激な増減はなく44~55兆円程度にとどまる見通しとなっている。
この数字を見てもバブル時のすごさが分かりますね。年々減少してきた建設投資でしたが、やや増加して現在の水準に留まっているようです。
インフラの整備も整っており、各地の開発も進んでいる日本では建設投資がこれから爆発的に伸びる事は無さそうです。
海外建設市場の動向
度で推移してきたが、 2010 年代には大きな伸びが見られ、2014 年に過去最高となる約 1.8 兆円を記録し
近年では 1.5 兆円を上回る高い水準を維持している。
海外にはまだまだ膨大な市場がありますが、
そこに日本の建設業食い込んでいけるかが大きな課題となりそうです。
建設業許可業者の動向
傾向にあり、2016 年度末時点では約 47 万業者となっている。ここ10 年間では建設投資の回復等を背景として、許可業者数の減少は落ち着いているみたいです。
都市部に比べて地方部の方が概ね減少率が大きい傾向にあるみたいです。
さらに、市町村単位でみた場合、許可業者が1社しかいない地方公共団体も存在
しているようです。
建設業業者の動向
2016 年は 492 万人となっている。建設業就業者数を年齢別に見ると、
2016 年において、29 歳以下が約 11%(2007
年時点約 14%)、55 歳以上は約 34%(同約 31%)となっており、全産業平均(29
歳以下が約 16%(同約 19%)、55 歳以上が約 29%(同約 28%))と比べるといち
早く高齢化が進行している。また、技術者や技能労働者のうち、女性の占める割合については全体の約3%に限られている。
ゼネコンとは「総合建設請負業者」未来を創る企業です
以上ゼネコンについて解説しましたが、ゼネコンに対する理解が深まったでしょうか。
ゼネコンというものが気になっていた方の参考になれば幸いです。
縮小が進むこの業界ですが、インフラや住居など我々が生活していくうえで不可欠なものを創っていくます。
きついこともたくさんありますが、今後も必ず生き残っていく業界です。
建設業界、ゼネコンに少しでも興味を持ってくれる方がいればうれしいです。