『場所打ちコンクリート杭工事』は現場の着工時期から携わると、若手の方が担当する事も多い工種の一つだと思います。
私も現場に配属されて初めて担当した工事は場所打ちコンクリート杭工事でした。
場所打ちコンクリート杭工事を担当するように指示された時に
『場所打ちコンクリート杭工事って硬い地盤に杭を施工できればいいんでしょ?』
『管理するのも楽だろう。』
なんて簡単に考えていました。
しかし、場所打ちコンクリート杭工事には管理するポイントがたくさんあり、建物の品質を左右する重要な工事です。
最近では、杭工事の施工不良が原因でマンションが傾き、大きな問題になったニュースもありましたね。
その通りです。
杭工事を甘くみたら大変なことになります。
大変なことにならないようにしっかり場所打ちコンクリート杭工事の管理するポイントを理解しておくようにしておきましょう。
この記事では、場所打ちコンクリート杭の工事管理ポイントの一つスライム処理について説明したいと思います。
場所打ちコンクリート杭工事とは?
杭工事の工法には大きく分けて、
- 既成杭工法
- 場所打ちコンクリート杭工法
この二つの工法があります。
杭工事の施工方法の一つ場所打ちコンクリート杭とは名称からも分かる通り、現場の中でで杭を造る工法です。
場所打ちコンクリート杭の作業手順をとても簡単に説明すると、
①杭を造るための孔を掘削する。
②掘削した孔の中に鉄筋カゴを挿入する
③鉄筋カゴを挿入した孔にコンクリートを流し込む
かなり簡略化しましたが、簡単にいうと
このような手順で進めていきます。
それに対して既成杭工法では、工場であらかじめ杭を製作してきて、現場に設置するというイメージです。
既成杭工法の作業手順としては
①杭を設置するための孔を掘削する
②工事で造ってきた杭を掘削した孔の中に設置する
既成杭の中でも様々な工法があるので、あくまでイメージとして作業手順を簡単に書いてみました。
要するに何が言いたいのかというと、
場所打ちコンクリート杭工事では、現場で杭を埋め込む穴を掘り、そこに鉄筋かごを設置し、コンクリートを流し込む事で現場で杭を造りあげる工法であることから、
品質は現場で作りこまなれければならず、杭工事の中でも管理するポイントが多くあるということです。
スライム処理とは?
スライムとは、杭孔を掘削する際に発生する土砂などがベントナイト溶液等と混ざり、杭の底に沈殿したものです。
スライムは、杭底に沈殿してしまうため、杭の支持力低下など杭の品質に影響を及ぼすため除去しなければなりません。
このようにスライムを除去することをスライム処理と言います。
スライム処理の工程は2段階?
スライムの処理には,一次処理と二次処理という2段階の工程があります。
一次処理は掘削完了直後に行うスライム処理で,二次処理はコンクリート打込み直前に行うスライム処理です。
イメージとしては、沈殿してしまっているスライムを一次スライム処理で、バッサリととってしまう。
コンクリート打設前に、まだ残っている細かいスライムを2次スライム処理で、しっかりとる。
というイメージです。
1次スライム処理の工法
底ざらいバケット方式
20〜30分程度スライムを沈殿させた後、底ざらいバケットで静かにスライムを除去するという工法です。
2次スライム処理の工法
エアリフト方式
圧縮空気をトレミー管中に吹き込み、管に上昇水流を作り、泥酔とともにスライムを吸い上げる。
水中ポンプ方式
水中ポンプを用いて、スライムを吸い上げる。
サクションポンプ方式
トレミー管をサクションポンプに連結し、スライムを吸い上げて排出する。
スライム処理の管理方法
スライムがきちんと処理されているかを確認する方法は、錘をつけたスケールテープを掘削底に降ろし、錘が掘削底へ着床する際の感触を元に判断を行う。